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Z世代の若者の価値観から未来の「居住」のあり方を探る「定住に捉われないライフスタイルの台頭ワークショップ」。2回目となる「地域のプレイヤーとの遠隔会議」の趣旨は、「地域で活動するプレイヤーにZ世代の価値観を伝えること」。Z世代の声を発信する株式会社dotから3名のみなさん、新しい暮らし・働き方を共創する多拠点型Co-LivingサービスLivingAnywhere Commons(リビングエニウェアコモンズ、以下LAC)から4名のみなさんと、日立製作所からは未来の居住のあり方について日頃から関心の高い4名のメンバーが集まり、ディスカッションを行いました。Vol.1では、ワークショップで語られた「Z世代の価値観」を中心にお伝えします。

[Vol.1]Z世代の価値観は、つながり、意味、多様性
[Vol.2]都市部ではない地域への移住、多拠点居住。新しい暮らし方を支える仕組みを考える
[Vol.3]「わたし」を軸に、未知の世界に飛び込む

ニーズではなく、価値観の共有をしたい

2回目のワークショップには、株式会社dotのメンバー、日立メンバーに加え、地域で活動するプレイヤーとして、株式会社LIFULL(ライフル)が運営するLivingAnywhere Commons(以下LAC)のみなさんがご参加くださいました。LACは好きな場所でやりたいことをしながら暮らす生き方を実践するコミュニティ。全国38か所(2022年6月末現在)の拠点をもち、ワーケーションの受け入れを行っています。

ワークショップに先立ち、日立メンバーがワークショップへの期待を語りました。

日立・高田:
先日のdotメンバーとのディスカッションでは、Z世代の居住に関するさまざまな価値観が見えてきました。今回は、それらを地域で活躍するプレイヤーであるLACのみなさんと共有し、共感やツッコミをいただくような議論になればと期待しています。前回もさまざまな知がアップデートされましたが、それをもう一度ひっくり返して、再アップデートしていくような議論ができれば、まだ誰も見ていないような移住観、多拠点居住観に至るのではないかと楽しみにしています。

日立・丸山:
dotのみなさんには、自分たちの「ニーズ」ではなく「価値観」を伝えてもらうようお願いしています。LACのみなさんにも、出てきたものをいったん受け止めてもらうようお願いしています。そもそもその言葉が届くのか、両者の間に共感が生まれるのかをしっかり見ていきたいと思っています。

ここを拙速にしてしまうと、この社会課題は解決しない気がしているんです。地域に対してニーズや要望を出して、それを地域がいかに受けるかを考えるような形は健全ではありません。いきなりお互いの利害を折衷するのではなく、まずは互いに価値観レベルで共感してみることから始めたいと思っています。

それぞれの居場所をつなぐ遠隔会議

ワークショップ当日は、LACの東京オフィスから北辻巧多郎さんと柏田滉太さん、LACの下田拠点(静岡)からコミュニティマネージャーのともさんとあっこさんがご参加くださいました。dotのトミーさん、がさきさん、たけちゃんはそれぞれ自宅から参加。日立メンバーの集まる協創の森(東京・国分寺)と各地をつなぎ、遠隔会議がスタートしました。

画像: 議論が進むにつれ、リアルの場で話しているかのような一体感が生まれた

議論が進むにつれ、リアルの場で話しているかのような一体感が生まれた

Z世代は「多自分」世代

さて、初回のディスカッションで明らかになった「Z世代の価値観」とはどのようなものなのでしょうか。

dot代表のトミーさんは、「Z世代の価値観」の特徴として

  • 「つながり」を大切にする(強く自己主張しない)
  • 「多様性」を大切にする(価値観の押し付けを嫌う)
  • 「意味」を大切にする(理不尽だと感じると逃げる)

の3つがあると話します。

画像: Z世代の特徴と価値観について聞き入る、LACのみなさんと日立メンバー

Z世代の特徴と価値観について聞き入る、LACのみなさんと日立メンバー

dot・トミーさん:
Z世代は多様性を受け入れる世代です。都会で暮らす方がカッコいい、田舎で暮らすのは逃げだ、といった偏見が薄いため、いろいろな土地で暮らすことに抵抗がありません。不況やコロナ、戦争など、幼い頃から変化の連続の中をすごしてきた世代でもあります。ですからむしろ、1拠点だけで過ごすことや、特定の地域以外で生活できないことに不安を感じます。

また、「ブラック企業」「うつ病」などの社会課題に小さい頃から触れてきているので、「仕事一筋がかっこいい」という価値観は希薄です。誰かと比較して上をめざすようなことにも関心がありません。

コロナ禍に就職活動を経験し、オンラインで働いたり、場所にとらわれない働き方を選択する人も増えています。仕事と暮らしが融合した「ワーク・ライフ・ジェンガ」の考え方に共感する人が多いのも特徴です。

グループ単位、入るのも出るのも自由な人間関係

dot・トミーさん:
Z世代のつながりは、多様なSNSから生まれています。メールは「対個人」が基本ですが、SNSは「グループ」が基本です。多様なつながりがグループ単位で形成されており、いつでも誰とでも、直接の面識がない人とでもつながることが自然です。

居心地が悪くなったら他のグループに移ればいいと考える人が多く、衝突するのではなく「逃げる(去る)」傾向があります。逃げることは、Z世代にとってはネガティブなことではありません。

画像: つながりづくりにも自己表現にも、SNSは欠かせない世代、とdot・トミーさん

つながりづくりにも自己表現にも、SNSは欠かせない世代、とdot・トミーさん

dot・トミーさん:
Z世代は、SNS上で複数のアカウントを使いこなし、自分の中に存在する多様な自分を受け入れてもらえる居場所を見つけやすい環境の中で過ごしてきました。そこからお互いの価値観を尊重する「言わない空気」が醸成され、「多様性には寛容であるべきだ」「無理強いはしない」「人に合わせるより、合う人といる」といった価値観が生まれてきたのだと考えられます。

「つながり」「意味」「多様性」を重んじるZ世代の人たちにとって、都市部ではない地域への移住や多拠点居住は魅力的な選択肢です。次回は、都市部ではない地域への移住、多拠点居住のもつ課題や新たなアイデアに関するディスカッションの模様をお届けします。

画像1: [Vol.1]Z世代の価値観は、つながり、意味、多様性│定住に捉われないライフスタイルの台頭 地域のプレイヤーとの遠隔会議

株式会社dot / イノベーションチームdot

『Z世代発!ハッピーイノベーションを世界へ。」を掲げ全国からやる気に満ちたZ世代が集う未来型組織。Z世代会議・チームグラレコなど、Z世代の ”好き” から事業が生まれている。
https://www.innovation-team-dot.com/
https://www.join-the-dots.net/blog/category/team-dot

画像2: [Vol.1]Z世代の価値観は、つながり、意味、多様性│定住に捉われないライフスタイルの台頭 地域のプレイヤーとの遠隔会議

北辻巧多郎
株式会社LIFULL 地方創生推進部LivingAnywhere Commonsグループ
アライアンスチーム統括

2012年4月に新卒でLIFULL入社。 LIFULL HOME’Sの営業を6年間経験後、岩手県釜石市職員として、空き家問題の課題解決に従事。 帰任後は新しい暮らし・働き方を共創する多拠点型Co-Livingサービス「LivingAnywhere Commons」で行政・民間とのアライアンスを担当する。

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柏田滉太
株式会社LIFULL 地方創生推進部LivingAnywhere Commonsグループ
CXチーム/拠点スーパーバイザー(SV)

LIFULLに中途入社後、新しい暮らし・働き方を共創する多拠点型Co-Livingサービス「LivingAnywhere Commons」にて企画営業に従事。2022年4月からはLIFULLが運営する拠点のスーパーバイザーを担当している。

画像4: [Vol.1]Z世代の価値観は、つながり、意味、多様性│定住に捉われないライフスタイルの台頭 地域のプレイヤーとの遠隔会議

株式会社LIFULL
LivingAnywhere Commons(LAC)

住む、働く、交流する、をキーワードにワークスペースと宿泊ルームを備えた長期滞在可能なコミュニティ型「Co-Living施設」。2022年6月末時点で38の拠点がある。
https://livinganywherecommons.com/

画像5: [Vol.1]Z世代の価値観は、つながり、意味、多様性│定住に捉われないライフスタイルの台頭 地域のプレイヤーとの遠隔会議

南野智之
研究開発グループ デジタルサービス研究統括本部
社会イノベーション協創センタ
プロダクトデザイン部 デザイナー(Senior Designer)

プロダクトデザイン、UXデザインを専門に国内外様々な製品開発を担当。日立製作所入社後は主に家電分野において新商品、サービス創出に従事。

画像6: [Vol.1]Z世代の価値観は、つながり、意味、多様性│定住に捉われないライフスタイルの台頭 地域のプレイヤーとの遠隔会議

高田将吾
研究開発グループ デジタルサービス研究統括本部
社会イノベーション協創センタ
サービス&ビジョンデザイン部 デザイナー(Associate Designer)

日立製作所に入社後、都市・交通領域におけるパートナー企業との協創をサービスデザイナーとして推進。

画像7: [Vol.1]Z世代の価値観は、つながり、意味、多様性│定住に捉われないライフスタイルの台頭 地域のプレイヤーとの遠隔会議

井口匠
日立グローバルライフソリューションズ株式会社
ビジョン戦略本部 ビジョン商品企画部 部長代理

2007年に株式会社日立製作所デザイン本部(現研究開発グループ東京社会イノベーション協創センタ)に入社。鉄道情報システム分野のUI・UXデザイン、顧客協創ツールの開発、生活家電分野のアドバンスドデザインとサービスデザインを担当。2020年10月から現部署に在籍し、未来洞察を活用したビジョン駆動型のソリューション企画や顧客協創に従事。
https://www.hitachi-gls.co.jp/

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丸山幸伸
研究開発グループ デジタルサービス研究統括本部
社会イノベーション協創センタ
主管デザイン長(Head of Design)

日立製作所に入社後、プロダクトデザインを担当。2006年にサービスデザイン、2010年にビジョンデザインを立ち上げ、2016年に英国デザインラボ長。帰国後はロボット・AIサービス、ライフサービス事業分野のストラテジックデザインをリード。デザイン方法論開発、人材教育にも従事。2020年より、現職。立教大学大学院ビジネスデザイン研究科客員教授。

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