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Z世代の若者の価値観から未来の「居住」のあり方を探る「定住に捉われないライフスタイルの台頭ワークショップ」。2回目となる「地域のプレイヤーとの遠隔会議」では、Z世代の声を発信する株式会社dotのみなさん、新しい暮らし・働き方を共創する多拠点型Co-LivingサービスLivingAnywhere Commons(リビングエニウェアコモンズ、以下LAC)のみなさんと、日頃から未来の居住のあり方について関心の高い4名の日立製作所メンバーが、ディスカッションを行いました。Vol.3はワークショップ後に行われたアフタートークをお届けします。「コミュニティ」を主な切り口に、研究開発グループ デジタルサービス研究統括本部 社会イノベーション協創センタ 主管デザイン長の丸山幸伸と、井口匠、南野智之、高田将吾が、Z世代の価値観に触れて得た気づきや、コミュニティづくりの鍵となるこれからの人物像について語りました。

[Vol.1]Z世代の価値観は、つながり、意味、多様性
[Vol.2]都市部ではない地域への移住、多拠点居住。新しい暮らし方を支える仕組みを考える
[Vol.3]「わたし」を軸に、未知の世界に飛び込む

画像: 自らが学生時代に抱いていた社会観とのギャップを語る丸山

自らが学生時代に抱いていた社会観とのギャップを語る丸山

変わるコミュニティと個人の関係性

丸山:
Z世代の価値観について、どんなことを感じましたか。

井口:
僕が「コミュニティに合わない人が入ってきた時にどうしますか?」と尋ねた時の、がさきさんとのやりとりが面白かったですね。僕らはコミュニティや地域や無形のシステムに目が行きがちで、そこにどう受け入れられるかって発想をしがちだと思うんです。でもあの時、がさきさんがすかさず「いや、わたしがどう思うかだし、入ってくる人がどう思うかですよね」って言っていたんですよね。彼女たちは「コミュニティにとってどうか」よりも、まず自分にとってどうか判断をしていきたいんだな、ということがはっきり分かりました。瞬時に答えが返ってきたから、「あ、違うんだ」と思った。このずれに気づいているかどうかが大事なんだと、いい学びになりました。

丸山:
僕が学生の頃は、まず「社会」というものがあって、そこに入れていただくために自分は何かをしよう、という風に思わされていたし、社会もそう動いていたと思います。でも彼らは、「社会」といってもいろいろあることを既に知っているんですよね。メタバースやSNSなど、いろんな社会がある。付き合ってみたい社会と合うかどうか、試しているんだと思います。そんなこと、今まで微塵も思ったことなかったです。最初から頭の中のモデルが違うんですね。

画像: 価値観のずれを指摘してもらうことも必要、と井口

価値観のずれを指摘してもらうことも必要、と井口

未知で自由な場所を楽しめるか

南野:
Z世代は誰かと比較して競争することに関心がない、という話もありましたね。面白かったのはたけちゃんの話です。彼は以前、すごく縦割りの学生サークルにいて、頑張って上をめざしていたことがあるんですよね。分かりやすい目標がある場所はやるべきことも分かりやすくて、安心な部分もある。でも、実際それが面白いのか、というところにやっぱり敏感な世代なんだと思います。つながる方法はたくさんあるから未知の世界に身軽に飛び込んでいけるし、「10年後どこで何をしているか全然わからないです」と言える方が楽しい、という感覚があるんだろうと思いました。

井口:
僕はそれ、逆もありそうだなと思うんです。「こういうのが好き」と気づけた子たちはいいけれど、うちの娘が大きくなった時のことを考えたら、「自分の好きなことが見つけられるかな」という不安もありますし、今も実際に見つけられなくて悩んでいる子がたくさんいる気がします。いろんな自分を見つけられる子と自分を比べてしまうこともありそうです。

画像: 「自分の若い頃と似ている気もするし違う気もする。定点観測したい」と南野

「自分の若い頃と似ている気もするし違う気もする。定点観測したい」と南野

コミュニティづくりの鍵となる人物像は

高田:
今日すごく面白かったのが、トミーさんと下田のあっこさん、ともさんの雰囲気が似ていたんです。飄々(ひょうひょう)としていて、やわらかい。ああいう人がこれから鍵になるんだろうなと思いました。「この指とまれ」をやっているんだけど、どこかつかみどころがない。彼女たちのような人がコミュニティにいてくれると、「やりたいことが見つからない」と悩む人が減っていくのかなと思います。

丸山:
自分が実現したい暮らしのコンセプトごとに、特化したグループに属するようになるのでしょう。同時にコミュニティ間の橋渡しをするような、バウンダリースパナー※ としてのLACや、その中で現場に立つ下田のお2人のような存在を、いままで以上にたくさん作っていかなくてはいけないんですよね。

※バウンダリースパナーとは……組織内外の境界線に位置する人物のこと。組織間や組織と個人の仲立ちをし、組織行動に影響を与える。

画像: コミュニティに必要な人物像に話題は広がった

コミュニティに必要な人物像に話題は広がった

南野:
受容的で現場にも近くて、変化し続ける場の中で中心的な役割を果たし続ける存在って、たぶんまだ名前がないですよね。

井口:
きっと、人そのものなんでしょうね。あっこさんやともさんがあの場にいることの意味って。役割以上のものがあるんだと思います。

画像1: [Vol.3]「わたし」を軸に、未知の世界に飛び込む│定住に捉われないライフスタイルの台頭 地域のプレイヤーとの遠隔会議

株式会社dot / イノベーションチームdot

『Z世代発!ハッピーイノベーションを世界へ。」を掲げ全国からやる気に満ちたZ世代が集う未来型組織。Z世代会議・チームグラレコなど、Z世代の ”好き” から事業が生まれている。
https://www.innovation-team-dot.com/
https://www.join-the-dots.net/blog/category/team-dot

画像2: [Vol.3]「わたし」を軸に、未知の世界に飛び込む│定住に捉われないライフスタイルの台頭 地域のプレイヤーとの遠隔会議

株式会社LIFULL
LivingAnywhere Commons(LAC)

住む、働く、交流する、をキーワードにワークスペースと宿泊ルームを備えた長期滞在可能なコミュニティ型「Co-Living施設」。2022年6月末時点で38の拠点がある。
https://livinganywherecommons.com/

画像3: [Vol.3]「わたし」を軸に、未知の世界に飛び込む│定住に捉われないライフスタイルの台頭 地域のプレイヤーとの遠隔会議

南野智之
研究開発グループ デジタルサービス研究統括本部
社会イノベーション協創センタ
プロダクトデザイン部 デザイナー(Senior Designer)

プロダクトデザイン、UXデザインを専門に国内外様々な製品開発を担当。日立製作所入社後は主に家電分野において新商品、サービス創出に従事。

画像4: [Vol.3]「わたし」を軸に、未知の世界に飛び込む│定住に捉われないライフスタイルの台頭 地域のプレイヤーとの遠隔会議

高田将吾
研究開発グループ デジタルサービス研究統括本部
社会イノベーション協創センタ
サービス&ビジョンデザイン部 デザイナー(Associate Designer)

日立製作所に入社後、都市・交通領域におけるパートナー企業との協創をサービスデザイナーとして推進。

画像5: [Vol.3]「わたし」を軸に、未知の世界に飛び込む│定住に捉われないライフスタイルの台頭 地域のプレイヤーとの遠隔会議

井口匠
日立グローバルライフソリューションズ株式会社
ビジョン戦略本部 ビジョン商品企画部 部長代理

2007年に株式会社日立製作所デザイン本部(現研究開発グループ東京社会イノベーション協創センタ)に入社。鉄道情報システム分野のUI・UXデザイン、顧客協創ツールの開発、生活家電分野のアドバンスドデザインとサービスデザインを担当。2020年10月から現部署に在籍し、未来洞察を活用したビジョン駆動型のソリューション企画や顧客協創に従事。
https://www.hitachi-gls.co.jp/

画像6: [Vol.3]「わたし」を軸に、未知の世界に飛び込む│定住に捉われないライフスタイルの台頭 地域のプレイヤーとの遠隔会議

丸山幸伸
研究開発グループ デジタルサービス研究統括本部
社会イノベーション協創センタ
主管デザイン長(Head of Design)

日立製作所に入社後、プロダクトデザインを担当。2006年にサービスデザイン、2010年にビジョンデザインを立ち上げ、2016年に英国デザインラボ長。帰国後はロボット・AIサービス、ライフサービス事業分野のストラテジックデザインをリード。デザイン方法論開発、人材教育にも従事。2020年より、現職。立教大学大学院ビジネスデザイン研究科客員教授。

[Vol.1]Z世代の価値観は、つながり、意味、多様性
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