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研究開発グループのメンバーが普段の生活で、どのようなことを考え・感じているのか、個々人の注目するモノやコト、それに対する価値観を覗き見るコンテンツ、Che・ke・la・bo(ちぇけらぼ)。今回は、サーキュラーインダストリー研究部で持続可能な社会の実現に向けて計測・分析技術の研究に取り組む尼崎新平さん。自身を「基本的にネガティブ」という尼崎さんの仕事との向き合い方や、子どもをもって変わった環境への意識について語ります。
画像1: ネガティブとポジティブの両輪で環境問題に立ち向かう|Che・ke・la・bo

尼崎 新平
研究開発グループ サステナビリティ研究統括本部 生産・モノづくりイノベーションセンタ サーキュラーインダストリー研究部 研究員(Senior Researcher)

持続可能な社会の実現に向けて、製造やリサイクル工程を対象に計測・分析を活用した「モノづくり×デジタル」の研究開発に従事。

楽観的に行動してみる

僕の人生の信条は「平穏に生きること」。VUCAの時代なのにすみません(笑)。負荷の高いことというより、イレギュラーなことが苦手なんです。想定外のつまづきとか、急激に舵を切らないといけない状況は辛くなっちゃう。できるだけ感情に波を立てず無事に日々を送りたいと思うのですが、なかなかそううまくはいきませんね。

京セラの創業者である稲盛和夫さんの「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」という名言があります。そもそも僕は基本的にネガティブな人間で、だからこそ平穏を求めているんですが、ネガティブさって、課題や不安を察知するセンサーが強いというポジティブな面もある。稲盛さんの言葉を知って、自分のネガティブさを活かしながら、時にはポジティブさも発揮してみようと意識するようになりました。

2年間、日立の労働組合の役員として職場を離れて活動したことも考え方が変わるきっかけになりました。組合に挙がってくる意見の中には、ネガティブな声もあります。それをそのまま関係者に伝えても、改善にはつながりません。よりポジティブな表現だったり具体的なアクションに変換して伝えることを、当時の組合役員から学びました。また、職場にヒアリングをしたとき、僕が「たいへんですね」と言っても、「でも楽しいですよ」「こういう課題があるけどこう改善すればできそうだよ」などとポジティブに返してくれる人も多く、そこから学ぶことも多かったです。

その頃、ちょうど仕事の上でも大きな転換点に来ていました。これまでやっていた研究領域以外のことにも挑戦してみる必要を感じながらも、やり方が分からないしなあ、とまさにネガティブな言い訳を並べていました。それがそのタイミングで組合に行ったことをきっかけに、「言い訳を並べても何も変わらない。それなら察知した課題に対し自分でできることからやっていこう」と意識が変わりました。

いまは「サーキュラーインダストリー」が部署名にもなっていますが、それ以前は循環経済がそこまで注目されていたわけではありません。でも部署名が変わり、循環を看板に据えることになった。これまでの経験を活かして自分にできることがあるのでは?と調べ始めたことがきっかけで、新しく資源循環関係の研究テーマを得ることができました。それが、稲盛さんの言う「楽観的に実行する」ということなのかなと思っています。

イレギュラーなことも、事前に想定したり対応できる能力を身に着けられれば、イレギュラーと感じなくなるかもしれません。VUCAの時代では変化に終わりはないですが、ネガティブ(課題や不安を察知するセンサー)を活かして自身の成長につなげたいと思います。

子どもが生まれて変わった環境意識

仕事で「製品の製造不具合の原因究明」に取り組んでいたせいか、私生活でもエラーがあると分析に走る傾向があるのかもしれません。

子どもがまだ赤ちゃんの頃、あまりにもよく泣くので泣き声を入力して気持ちを分析するAIアプリを使ってみたことがありますが、あれは難しかったですね。
赤ちゃんが泣き出して、内心ちょっとわくわくしながらアプリを立ち上げたのですが、アプリを立ち上げて、操作ボタンを押して赤ちゃんの声を読み取らせて、とやっている間にも赤ちゃんは泣き続ける、僕はアプリの操作に手こずる、それを見ている妻の目がだんだん冷た〜くなってくる……その挙句に結局エラーが出て泣き声も分析できず、惨憺たる結果に終わってしまいました。抱き上げてあやしたほうが早かった(笑)。

子どもが生まれてから、個人的にも環境問題の話をより身近に感じるようになりました。30年後、子どもがいまの自分と同じ年齢になったとき、地球環境が壊れていたら?さらにその子の子どもも生まれていたら?と考えると、このままではいけないと本当に思います。いままでも環境問題については「それはそうだよね」と理解しつつもどこか他人ごとのように捉えていたのが、一気に自分ごとになりました。

いまは子ども向けの動画教材でも自然に環境問題やSDGsに関する内容を扱っています。とってつけたような感じではなく、自然なこととして表現されています。うちの子どもも動画で覚えたリサイクルの歌を歌っています(笑)。親から改めて教えるようなことはそんなにないですけれど、ゴミの分別など、日常のことから自然に学んでいるかもしれないですね。

画像: タブレット端末を使って自分の好きな動画教材を見る息子

タブレット端末を使って自分の好きな動画教材を見る息子

環境問題を扱うということは、数多くのネガティブな現実と直面することでもあります。「ネガティブに課題を察知して、ポジティブに自分のできることをやる」というネガティブとポジティブの両輪を大事にして、日々の研究を進めたいと思っています。

編集部より

画像2: ネガティブとポジティブの両輪で環境問題に立ち向かう|Che・ke・la・bo

取材中に「ざっくり言うと人は人生のうち1/3~4は布団の中にいるんです。だから寝具にお金をかけてもいいと思うんです」と寝具へのこだわりを熱く語っていた尼崎さん。その話を伺ったとき、編集部メンバーも妙に納得してしまいました(笑)。自分自身を俯瞰して、ニュートラルにするためになにが必要かを常に自己分析している姿はまさに研究者そのものだと思いました。【編集M記】

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