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研究開発グループのメンバーが普段の生活で、どのようなことを考え・感じているのか、個々人の注目するモノやコト、それに対する価値観を覗き見るコンテンツ、Che・ke・la・bo(ちぇけらぼ)。今回は、シリコン量子コンピュータ向け量子オペレーティングシステムや制御ソフトウェアの研究開発に携わる宮本さんが、趣味のクレーンゲームや「ゆるみくじ」集めの話を通して、日常の中に「非日常」を埋め込むことの魅力について語ります。
画像1: 日常の中に小さな「非日常」を埋め込む|Che・ke・la・bo

宮本篤志
研究開発グループ Next Research 量子コンピューティングプロジェクト 主任研究員

2010年日立製作所入社。シリコン量子コンピュータ向け量子オペレーティングシステム、システムソフトウェアの開発に従事。シリコン量子コンピュータの大規模化に向けて、量子ビット操作を実現するために必要な制御システムの検討、特に制御ソフトウェア領域を担当している。博士(情報科学)。

クレーンゲームは研究に似ている?

ゲームセンターの「クレーンゲーム」にはまっています。きっかけは、家の近所にあるゲームセンターに、興味本位で足を踏み入れてみたことでした。そのゲームセンターは、倉庫みたいな建物に、「ゲーム」と書いてあるボロボロの看板がかかっている、かなり怪しい雰囲気だったんです(笑)。もともとゲームセンターに興味はなくて、入ってみるまではむしろ、近所にあるのが嫌だなと思っていたくらいでした。ところが、自宅に遊びに来た友達とその場の勢いで入ってみたら、店内は家族連れもいるような普通の雰囲気で、それから少しずつクレーンゲームで遊ぶために通うようになりました。もちろん最初は全然取れなかったのですが、ある日、自分のねらいどおりに操作できて、景品が取れたんです。そこから成功パターンの再現性を追求するようになっていきました。

「クレーンゲームは研究に似ている」と感じることがあります。まずクレーンの動きや機械の仕組みを注意深く観察し、景品を取るまでに何手くらいかかりそうか、どんな手順で進めるかといった仮説を頭の中で組み立てます。そしてトライしてみて、想定どおりに動けばそのまま続けるし、違う結果になったら、そこでいったん立ち止まって考え直します。もちろん遊びではありますが、手順を整理して実践し、その都度フィードバックを受け取りながら次を考えていく、といった進め方が研究と似ているんです。一方で、研究の場合は目標を描いてから成果が出るまでに長い時間がかかるのに対し、クレーンゲームはすぐに結果が出るという点が大きく異なります。このコンパクトさが、ちょっとした達成感や充足感にもつながっています。「今日は仕事が前に進まなかったな」という日の帰り道に短時間でもプレイすると、スムーズな研究サイクルの疑似体験ができたような感覚で、かなりのリフレッシュになります(笑)。

私がクレーンゲームの世界により深くはまった理由のひとつは、「最適解」の奥深さにあります。クレーンゲームは、景品の置き方(設定)や技が多様で、それぞれにユニークな業界用語がついています。

たとえば、「橋渡し」は二本の棒の上に景品を渡すようにして置く設定のこと。攻略の際には、少しずつ景品の位置をずらしながら、最終的に落とすことを狙います。運任せではなく、技術で前に進めるタイプの設定として知られています。一手ごとに状況が変わるため、景品の重心や動きを観察しながら次の手順を組み立てなくてはいけない点が魅力です。

寄せ、スライド、ずり上げ、ちゃぶ台返し、縦はめ、抑え掛け、バー停止、バランスキャッチ(通称BC)…これらはすべて技の用語です。中でもBCは、景品の重心を狙って完全に持ち上げる技で、難易度はかなり高いものの、一手で取れる可能性があります。景品の状態をよく観察し、持ち上がるときのイメージを頭の中で組み立てるプロセスにはロマンがあり、決まったときの気持ちよさは格別です。他にも、少し強い言葉ですが「ハイエナ」という用語もあります(笑)。これは、誰かが途中まで動かして諦めた状態を引き継いで取ることを指します。前の人が作った流れを分析して続きを考えるわけで、これもまた状況判断が求められる場面です。

こうした独自の言葉が数多く存在するのは、それだけ考え方や文化が積み重なってきた証拠です。クレーンゲームは単なるゲーム機ではなく、ひとつの小さな世界なのだと思っています。

モノも記憶も「あるべきところ」に収めたい

クレーンゲーム以外に好きなことというと「整理整頓」です。特段綺麗好きなわけではないのですが、物があるべきところに収まっている状態と、収めていくまでの過程が好きなんです。一方で、整理整頓することで新たに何もないスペースが生まれると、何か詰めたくなってしまったり…(笑)。
「きちんと収める」ということでいうと、弁当づくりも好きな家事のひとつです。弁当箱に隙間があると落ち着かないので、きっちり埋めていくタイプです。作り置きをタッパーに詰めて冷凍庫の中に隙間なく並べては、妙な達成感にひたっています。

どうやら収集癖もあるようで、旅のような、記憶に留めておきたい非現実を味わったときには、何かひとつアイテムを買うようにしています。よく集めているのは神社やお寺の御朱印やゆるみくじ(※)、ご当地みやげのマグネットなど。買ったものはもちろん、飾る場所を決めています(笑)。写真は気恥ずかしくて飾れないのですが、こういうアイテムなら生活の中に置いても違和感がありませんし、ふとした拍子に目に入ると、旅の記憶が蘇るんです。こうしたモノをきっかけにして過去の出来事を思い出すと、より鮮明に当時感じていた空気感が蘇ってきますし、日常生活で目に入ることによって、半強制的かつ定期的に思い出すという行為ができることが大切だと感じています。

※ ゆるみくじ…神社やお寺で売っている、ユーモラスな人形に入ったおみくじのこと。

画像: 旅先で出会ったゆるみくじたち。自宅の玄関先に飾られている。

旅先で出会ったゆるみくじたち。自宅の玄関先に飾られている。

「記憶に留めておきたい」という感覚は、僕にとってけっこう大事なものです。疲れたからといって休日に何もしないと、本当に何も残らない。一方で、そうそう遠出をするほど元気はありません。だから、少しだけ非日常を感じられることを、日々の生活に取り入れるようにしています 。クレーンゲームも、小さなアイテム集めも、その延長線上にあるものです。そうやって、何気ない日々に小さな輪郭をつけながら過ごしているのだと思います。

編集部より

画像2: 日常の中に小さな「非日常」を埋め込む|Che・ke・la・bo

量子コンピュータという夢のある研究開発に携わることができて日々やりがいを感じているという宮本さん。最近は健康のために休日の朝に散歩をするようになったそうですが、そのついでにゴミ拾いを始めたら、いろんな人から挨拶されるように。ちょっとした行動で周囲の反応・環境が変化していくのを感じるのもおもしろいし、研究っぽいかも。と楽しそうに語ってくださいました。【編集S 記】

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