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研究開発グループのメンバーが普段の生活で、どのようなことを考え・感じているのか。個々人が注目するモノやコト、そこにある価値観を覗き見るコンテンツ、Che・ke・la・bo(ちぇけらぼ)。今回は、コンピューティング分野を軸に幅広い研究開発に携わってきた濱本真生さんが、学生時代に熱中したマンガ創作や現在の趣味を通して感じた「手を動かしながら生きる」ことの面白さや、マレーシアでの研究生活で出会った「自然に合わせた生き方」について語ります。
画像1: 手を動かして、「面白い」を広げる|Che・ke・la・bo

濱本 真生
研究開発グループ Digital Innovation R&D 先端AIイノベーションセンタ メディアインテリジェンス研究部 リーダ主任研究員

2007年日立製作所入社。放送局向け映像圧縮コーデックのFPGA開発を皮切りに、計算機アーキテクチャ、大規模データ分析など幅広いレイヤーにわたるコンピューティング分野で研究開発に携わる。2019年から説明可能AI、現在は産業向けAIエージェントの研究開発を推進。

好きになると手を動かしたくなる

何かを好きになると、自分でも作ってみたくなるタイプです。「こうだったらもっといいのに」と思いつくと、つい手を動かしたくなります。一人暮らしを初めてすぐの頃、部屋に置く間接照明を作ったこともあります(笑)。自分で考えたイメージに必要な材料を買ってきて、ココナッツの殻に穴をあけて電球を通して……。そうやって手を動かしながら自分のイメージに近づけていく時間が好きなんです。研究者となったいまも、行動しながら考える方が性に合っている気がします。そして、作ったものはすぐに人に見せます。第三者の反応が知りたいんですよね。好きになったフィールドで、自分なりの表現をしたくなる。そして他の人にも共有してフィードバックをもらってまた新しいアイディアが生まれてくる、その繰り返しを楽しんでいます。

仕事以外で最大の「作ってみたい」を経験したのは、高専時代に熱中していたマンガの創作です。絵を描くのが好きだというわけではなかったのですが、少年漫画の、熱くて泣けるストーリーが大好きで、「自分だったらこういう話を描きたい」と思うようになり…。コマ割や集中線、吹き出しなどの描き方も見よう見まねで描き始めました。しかも当時はアナログが主流だったので、何もかもが一発勝負で失敗したら終わりの世界です。それでも高専に通いながら3年間くらいはすべての時間を注ぎ、描き続けました。気づけばその間に少年漫画雑誌への投稿で賞を2回いただき、最後の作品では担当がつくという話まで出ました。ただ、マンガの世界で食べていけるのは一握りだと冷静に分かっていたので、どこかで区切りをつけようと決めていました。ちょうど20歳の頃ですね。工学の勉強も好きだったので、そこで潔く切り替えて、研究の道に進みました。

「研究者は芸術家であれ」と、日立に入社したときに先輩研究者が言っていたのが記憶に残っています。研究テーマの切り口なども自己表現の一部だと思っていて、自分が面白いと思ったものを創り出して、それを世の中に届けていきたいという思いは変わっていません。

画像: 学生時代に描いたマンガの原稿。毎日深夜2時起きで漫画を描き続けていた

学生時代に描いたマンガの原稿。毎日深夜2時起きで漫画を描き続けていた

デジタル時代だからこそ肌で感じるおもしろさ

いま一番ハマっているのは、子どもがきっかけで始めたベイブレードです。正直、最初は「まあ一緒に遊ぶか」くらいだったのに、気づいたら子どもよりもはまってしまって大変なことになりました(笑)。ベイブレードの一番の魅力は、詳しい説明がなくても、誰でも同じ条件で遊べるところです。さらには、カードゲームのようにルールを覚える必要がなくて、回すだけで成立するというシンプルさ。回転のエネルギーがぶつかり合って、弾かれて、飛んでいくという物理を肌で感じながら遊べるのもすごくいいんですよね。一方で奥が深いところもあり、パーツの組み合わせと自分のシュートフォームの相性や対戦相手との相性によっても勝負が変わってきます。短時間で決着がつくのにインパクトが大きいんです。

大会などにベイ(コマ)を持っていくための専用ケースが売られているのですが、いつもの「もっとこうしたい」が発動して、100円ショップで買った箱を組み合わせたり、緩衝材を入れたりして、持ち運びしやすくてかっこいい、世界で一つのオリジナルケースを作りました(笑)。子どもには呆れられつつも家族みんなで定期的に試合をしていて、結局みんなで盛り上がっています。

何かを作れるようになったり、仕組みが少し分かるようになると、同じ景色でも受け取れる情報が増えるし、面白がれる範囲が広がっていきます。できることが増えるとQOLが上がるんです。面白いことを見つけて、手を動かして、いろんな人と共有する。そんなサイクルが、仕事も生活も豊かにしてくれていると感じています。

画像: ベイブレードコレクションの一部。パーツの組み合わせで個性が出る

ベイブレードコレクションの一部。パーツの組み合わせで個性が出る

自然とともに生きる、マレーシアの時間感覚

日立では業務用カメラの画像圧縮・伝送といったハードウェア開発を皮切りに、コンピューティングやデータ処理など、領域を少しずつ広げながら研究開発に携わってきました。その中で特に印象に残っているのが、マレーシアでの研究生活です。現地の大学との連携による石油や資源探査に関する研究開発のため、約2年間マレーシアに滞在しました。赴任先は首都のクアラルンプールから200kmほど離れた郊外で、牛が普通に道路を横切るような自然の豊かな場所でした。赴任してまず驚いたのが昼間の暑さです。昼間は暑くて何もできないので、外にも人の姿はほとんどありません。その代わり、夕方になるとスコールが降って一気に気温が下がるので、子どもたちが夜10時頃まで公園で遊んでいる光景も珍しくありませんでした。日本ではなかなか見ない風景ですが、暑さを前提に生活が組み立てられていると考えると、とても合理的です。毎日の天気もほとんど一緒で、毎日暑くて毎日スコールが降るので、だんだん天気予報を見ることがなくなりました(笑)。もう一つ驚いたのが、サッカーの大会で優勝した翌日が、何の前触れもなく祝日になったことです。当然会社も休みになり、予定していた打ち合わせもキャンセルになりましたが、なぜかそれでも大きな混乱もなくちゃんと社会は回っているんですよね。自然や状況に柔軟に合わせていくおおらかな国民性が印象に残っていて、心の豊かさなどを考えるよいきっかけになりました。

編集部より

画像2: 手を動かして、「面白い」を広げる|Che・ke・la・bo

学生時代に制作したマンガや自作のベイブレードケースなど、次から次へと出てくるオリジナル作品の数々に驚きが止まらない…。多芸多才な濱本さんですが、同僚との親睦を深めるために部署内でベイブレード大会を開いたらレベルの差がありすぎて、うまく布教ができなかったと少しショックを受けていました(笑)。熱い想いが多くの人に届きますように。【編集S 記】

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