Hitachi
お問い合わせお問い合わせ
研究開発グループのメンバーが普段の生活で、どのようなことを考え・感じているのか、個々人の注目するモノやコト、それに対する価値観を覗き見るコンテンツ、Che・ke・la・bo(ちぇけらぼ)。今回は、自作キーボードを30台作るほどのキーボードマニア、山口大洋さんが登場。奥深いキーボードの世界から、手回し発電でAIを動かすユニークなモノづくりまで。「まずは自分で触ってみる」ことを大切にする山口さん。その探求心の源泉と、趣味と仕事に通じるモノづくりへの想いを語ります。
画像1: 自分で作って、触って、確かめる。自作キーボードから広がる世界|Che・ke・la・bo

山口 大洋
研究開発グループ Digital Innovation R&D デザインセンタ ストラテジックデザイン部 企画員

2022年に東京都立大学大学院 インダストリアルアート学域を修了。同年株式会社日立製作所に入社。
現在はBtoB向けサービスのプロトタイピングやUI/UXデザインの他、デザインエンジニアリングに関する研究に従事。2025年の大阪・関西万博をはじめとした社内外イベントにも携わる。

手を動かして、自分だけの世界を形にする

子どもの頃から、ジオラマや模型を作るのが好きでした。樹脂のボードを切って、緑色のスポンジをぱらぱらと撒いて草木を生やして、という作業は自分の手で小さな世界を作っていく面白さがあります。ただ、ジオラマはかなり場所を取るので、だんだん自分の生活スペースがなくなっていきます(笑)。そこで次に興味が向いたのが、スペースという物理的な制約に縛られない3DCGでした。一貫して「ここはこんな世界で、こんな人が暮らしていて……」と設定や世界観を考え、それを自分の手で形にすることが好きなんだと思います。

大学ではインタラクションデザインに出会いました。画面の中だけではなく、ハードウェアも含めて、人とモノがどう関わるかを考えるデザインです。いまは仕事でも、ビジョンを描いたり、実際に動くプロトタイプを作ったりしています。僕にとって、手を動かしてものを作り、作ったものを通じて人とコミュニケーションできるのはとても幸せなこと。そうしたモノづくりを、そのまま仕事にできていることは、ありがたいことだと思っています。

音も感触も世界観も。奥深い自作キーボードの世界

そんな僕がいま、趣味としていちばんハマっているのが、自作キーボードです。原点は大学時代の研究で、自分でコントローラーを組み立てて、3DCGソフトなどを操作できるシステムを作っていたんです。そこから社会人になって、自作キーボードの世界にハマっていきました。実はいま、自作キーボード界隈はかなり盛り上がっています。僕が好きなのは、有志の方が作成されたキットを組み立てたり、いろいろなパーツを組み合わせたりして、好みの一台に仕上げていくこと。気づけば、これまでに作ったキーボードは20〜30台ほどになりました。

画像: 市販品ではあまり見ないような形状にカスタムできるのも自作する面白さ

市販品ではあまり見ないような形状にカスタムできるのも自作する面白さ

自作キーボードの楽しみ方はいろいろありますが、僕が特にこだわっているのは「打鍵音」と「打鍵感」です。キーボードは、パーツの素材や構造を少し変えるだけで、音も指先の感触もかなり変わります。たとえばキーキャップは、重くなるほど音が低くなります。打鍵感にはカチカチとした「クリッキー」、押したときにポコッとした感触のある「タクタイル」、抵抗が少なくスッと押せる「リニア」と、大きく分けて3つのタイプがあります。一見すると細かな違いですが、キーボード好きにとっては大きな違いです。ちなみに僕は指への負担が少ないリニア派です。さらに、キーを押すのに必要な力である「押下圧」も軽めが好みです。リニアな感覚を求め、スイッチをわざわざ分解して、潤滑油を塗り直すこともあります。それだけでも滑らかさが変わって、打鍵感や打鍵音が変わります。少し手を加えただけで感触も音もがらっと変わるので、どんどん試したくなります。突き詰めすぎると、「本当に変わったのか、変わった気がしているだけなのか?」という微細な世界にも入っていくんですが(笑)、そこも含めて、キーボードは奥行きの深い趣味だと思います。

打鍵感や打鍵音だけでなく、キーボード自体の見た目も大事で、「今回はこんな雰囲気にしよう」とテーマを決めることもあります。海をイメージしてグラデーションにこだわったもの、なぜか山手線をイメージしたもの(笑)など。キーキャップやケースを組み合わせながら、一台ずつ世界観を作っていきます。その日の気分によって、使うキーボードを替えるのも楽しいですよ。「今日は効率よく仕事をしたいからこれ」「ちょっとやる気が出ないから、元気が出そうなこれ」という感じで。感覚としてはネイルに近いかもしれませんね。手元がきれいだと、それだけでちょっとうれしいじゃないですか。

そんなふうに作り続けていたら、当然ながらキーボードが家にあふれてきました。もともとジオラマが場所を取るからと、物理的な制約のないCGの世界へ移ったはずなのに、気づけばまた物理的なスペースの限界に直面しています。

「分かったつもり」にせず、まず触ってみる

キーボード以外にも、気になったものは実際に作って確かめてみたくなります。以前、プライベートでモノづくり関連のイベントに出展した従量発電制AIチャットもその一つです。AIを動かすために、データセンターではたくさんの電気が使われています。でも、普段パソコンやスマホからAIを使っているときに、その裏側でどれだけのエネルギーが使われているのかをなかなか実感できません。そこで考えたのが、「自分で手回し発電した分だけAIと会話できる」という仕組みでした。ハンドルを回して発電量を増やさないとAIを使えないという体験を通じて、AIを動かすためには多くのエネルギーが必要なんだということを、体感してもらえるんじゃないかと思ったんです。

画像: AIチャットの実演中。イベントでは子どもたちにも大人気だったそう

AIチャットの実演中。イベントでは子どもたちにも大人気だったそう

僕自身、新しいものに触れるときは、見聞きした情報だけで判断せず、できるだけ自分で触って、仕組みを理解したいと思っています。分からないものがあれば、実際に手を動かしてみる。そうすると、自分でできることも少しずつ増えていきます。キーボードづくりも、仕事でのプロトタイピングでも、自分で作って、触って、体感してみる。その過程で初めて見えてくる発見があるからこそ、「まずやってみる」ことをこれからも大切にしていきたいと思っています。

編集部より

画像2: 自分で作って、触って、確かめる。自作キーボードから広がる世界|Che・ke・la・bo

仕事と趣味を明確に切り分けるのではなく、グラデーションのようにつなげながら楽しんでいる山口さん。仕事では携わった物流向けBtoBサービスが日本産業技術大賞の内閣総理大臣賞を受賞するなど、まさに公私ともに充実されている姿が印象的でした。 【編集K 記】

This article is a sponsored article by
''.