日立製作所研究開発グループが実施するオンラインイベントシリーズ「協創の森ウェビナー」。世界規模の社会課題が山積みのいま、企業の課題解決が社会イノベーションと直接的、間接的につながっていくことが期待されています。その上で何を見て、どのように問いを立てる必要があるのでしょうか。第1回目のテーマは、「パーパスと社会イノベーション事業」。プロローグでは、日立製作所 社会イノベーション協創統括本部 統括本部長の森正勝が、「なぜ問いからはじめるのか」について、自社の取り組みを中心に語ります。

プログラム1「なぜ私たちは問いからはじめるのか?」
プログラム2「目的工学の観点から社会イノベーションを紐解く」
プログラム3「サステナビリティのための問い」

画像: 協創の森ウェビナー初回。問いからはじめる意図について語ります

協創の森ウェビナー初回。問いからはじめる意図について語ります

協創の森から“問い”を発信する

日立製作所は、中央研究所内に「協創の森」をつくり、お客さまとの協創で社会イノベーションを実現する取り組みを2019年より行ってまいりました。

コロナ禍にある現在、フィジカルな場での協創が難しくなっています。一方、デジタル技術を活用したリモートのコミュニケーションスタイルが発達してきています。当社もウェビナーという新しいスタイルで、皆さんにいろいろな問いを発信していきたいと考えています。

さて、私たちは「問いからはじめるイノベーション」を掲げています。なぜ問いからはじめるのでしょうか。まずはそこから考えたいと思います。

画像: 社会課題の解決と企業の成長の両立を模索することが、お客さまの課題解決につながる

社会課題の解決と企業の成長の両立を模索することが、お客さまの課題解決につながる

社会課題の解決と企業の成長をどう両立するか

「お客さまの課題を解くことで社会イノベーションを起こす」。これは、日立製作所がずっとやってきたことですが、具体的にはどういうことなのでしょうか。鉄道を例に考えてみます。

たとえば、定時運行で社会に価値を届けることが、お客さまにとってのひとつの課題解決になります。解決のため研究者やデザイナーが、さまざまなステークホルダーとの対話を通じて課題を浮き上がらせ、ソリューションを検討します。これまでの課題解決は、こうしたプロセスで行われてきました。

しかしいま、世の中の考え方は大きく変わってきています。お客さまの利便性や効率だけを追求すればいい、というわけにはいかなくなっているのです。

たとえば、2015年に国連でSDGsが定められ、持続可能な社会をつくるために課題解決を図ろうとする動きが始まりました。また、ESG投資に関する関心も高まっています。

こうした社会課題の解決と企業の成長をどのように両立していくのか。そんな大きな問いが、お客さまの課題解決にも大きく関わるようになってきています。

画像: 納得できる未来像だからこそ、難しくても取り組むことができる

納得できる未来像だからこそ、難しくても取り組むことができる

人々の価値観を先取りして、心躍る未来を描く

お客さまの課題に社会課題が重なると、問題が複雑化して解きにくくなります。また、私たちの中にある「以前はこうだった」という既成概念が制約条件となり、イノベーションが起こりにくくなります。

こうした状況では、自分たちを奮い立たせることはできません。しかし、もしも自分たちが納得できる未来像を持てたらどうでしょうか。心躍る未来を目標に、解決の難しさにも踏み込んでいけるのではないでしょうか。

そこで、まずは社会のあり方を問い直すことから始めてみたいのです。心躍る未来像を、そして、心躍る未来実現のために世の中をどう変えていくのかを、皆さんと一緒に考えていきたい。私たちはそんな風に考えています。

では、心躍る未来はどんな風に描くことができるでしょうか。ここで再び、イノベーションを阻む制約条件に注目してみます。

制約条件は不変ではなく、その時代の社会のルールや規則に依存しています。ルールや規則は、人々が大事にしたいと思っていることを実現するためにあります。ですから、大事にしたいと思っていること=価値観の変化を見ていくことが、心躍る未来を描く鍵になるのではないかと、私たちは考えています。

画像: 変化する価値観をどう捉えるか。皆さんと一緒に、心躍る未来を考えていきたい

変化する価値観をどう捉えるか。皆さんと一緒に、心躍る未来を考えていきたい

価値観の変化をきざしでとらえる

日立製作所は、生活者の価値観の変化のきざしについて、2010年から研究を続けています。

研究結果は「人の考え方や行動の変化、社会潮流を洞察した未来の観点集」にまとめています。その中から、きざしの観測例をひとつご紹介します。2010年に洞察した、未来の環境問題に関するきざしです。

2010年当時、家電リサイクル法の施行で環境問題が意識され始める一方で、いま問題になっているプラスチックごみの問題などは表面化しておらず、どちらかといえば利便性や効率性重視の時代が続いていました。しかしそんな中で、すでに環境に対する意識の変化の萌芽があったのです。

こちらは、若者向けにレクチャーを行う環境教育コンサルタントの紹介ビデオです。

2010年のビデオ画像。環境に関する意識の変化の萌芽が見受けられる

2010年の時点で、若者への環境教育がすでに始まりつつあったことを、このビデオは示しています。私たちはこうした動きを「未来に対する萌芽」として捉えていました。

このような萌芽を分析した結果、「将来的に環境教育を受けた若者たちが増え、環境に対する社会の価値観が変わってくるのではないか」と洞察し、2010年のきざしとして紹介いたしました。

画像: 2010年は萌芽だった意識が、現在で当然とも言える制約条件に

2010年は萌芽だった意識が、現在で当然とも言える制約条件に

では実際、いまどうなっているでしょうか。現在の私たちにとって、環境への配慮は当たり前のことになっています。2010年時点では萌芽のひとつだったものが、2021年には、すべての物事を考える上での制約条件になっているのです。

このように、人の価値観は変わっていきます。つまり、社会の課題に対して制約条件を考えた時、その制約条件の中でも価値観に関するものは、変化していく可能性があるのです。

社会課題は複雑で、解くのが非常に難しいです。新しいブレイクスルーが必要だとも言われています。その中で、人々の価値観はどう変わっていくのでしょうか。また、私たちがつくっていきたい心躍る未来はどんな未来なのでしょうか。これから、ぜひ皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。心躍る未来を目標に、社会の課題を解いていく。そんな活動をぜひ一緒にしていけたら、と思っています。

さて、今回のウェビナーのテーマは「パーパスと社会イノベーション事業」です。今、パーパス=存在意義が非常に重要視されています。目的と社会イノベーションをどういう形で紐づけていけばいいのでしょうか。続く2つのセッションで皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

画像: 心躍る未来のために。問いからはじめる社会イノベーション│協創の森ウェビナー第1回「パーパスと社会イノベーション事業」プログラム1「なぜ私たちは問いからはじめるのか?」

森 正勝
研究開発グループ
社会イノベーション協創統括本部 統括本部長(General Manager,Global Center for Social Innovation)

1994年京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、日立製作所入社。システム開発研究所にて先端デジタル技術を活用したサービス・ソリューション研究に従事。 2003年から2004年までUniversity of California, San Diego 客員研究員。横浜研究所にて研究戦略立案や生産技術研究を取り纏めた後、2018年に日立ヨーロッパ社CTO 兼欧州R&Dセンター長に就任。
2020年より現職。
博士(情報工学)

プログラム1「なぜ私たちは問いからはじめるのか?」
プログラム2「目的工学の観点から社会イノベーションを紐解く」
プログラム3「サステナビリティのための問い」

協創の森ウェビナーとは

日立製作所研究開発グループによるオンラインイベントシリーズ。日立の研究者やデザイナーとの対話を通じて、新しい協創スタイルの輪郭を内外の視点から浮き上がらせることで、みなさまを「問いからはじめるイノベーション」の世界へいざないます。

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