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日常の生活や出来事から得られる、いま、この時代でしか得られない感覚や発想。それら「社会を切り取る視点」を、研究開発グループのメンバーのインタビューから見つけるコンテンツ、Nowism(ナウイズム)。今回のメンバーはスマートシティ関連で、主にヘルスケア、セキュリティ、リテール分野のプロジェクトに携わっているソフィさん。現在は、リモートワーク開始と同時に飼い始めた子犬が相棒で、生活の大きな支えになっているそうです。(2020年秋収録)
画像1: メキシコから見た日本はファンタジー?異文化の中で働くこととは│Nowism 社会を切り取る視点の蓄積

Sofia Lopez
研究開発グループ 東京社会イノベーション協創センタ
価値創出プロジェクト 企画員(Associate Designer)

2019年入社。メキシコで工業デザインを学んだあと、千葉大学へ2年間留学し、日立に入社。入社後半年からはずっとリモートワークで、現在は子犬との生活を満喫中。

——メキシコで大学在学中、日本のデザイナーと交流してその考え方に感銘を受け、日本にやってきたというソフィさん。彼女の考え方に大きな変化をもたらした、スペキュラティブデザインについて語ってくれました。

スペキュラティブデザインとは、1990年代頃にロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートから生まれた考えで、未来に発生しうる課題を提起し、解決策を提示することを目的としたデザインの分野です。その名の通り、単なる憶測・推測にすぎないのですが、非常に多様な未来の選択肢を思い描くことができるので、ぜひ、近いうちに実際のプロジェクトの中で取り込んでみたいと考えています。

私がメキシコの工業大学に在籍して工業デザイナーとして学んでいた時は、問題解決の部分を重視していました。それが、ひとたび日本に来てみると、千葉大学の先生から「もし、今起こっている問題を解決しようとしているならば、間違いなくすでに誰かが同じことを考えている」と言われました。つまり、まだ存在すらしていない新しい課題を提案し、そのために未来を想像しないといけない。 “望ましい未来”の実現可能性を高めていくことが大事で、不確かな未来に対して、何らかの価値観が見つけられればいいのです。まさに、地球の反対側に来て、真逆の考え方を学びました。

実は、まだメキシコの大学生だった頃、千葉大学の学生とのコラボ企画があったんです。その時の彼らの提案が、例えば「空が飛べるリュックを背負ってることを想像する」といったもので。私には、それがとてもクレイジーに思えました。日本のデザインって、まじめなものが有名なのに、どうしてそんな非現実的なことを提案しているのだろう?と、大きな衝撃を受けたのです。それで、その実態を理解するべく、日本でデザインの勉強をしようと決めたんです。結果として、イノベーションにおいて鍵となる、「課題提起型」手法とスペキュラティブデザインを理解するに至りました。

画像: リモートワーク開始とともに一緒に暮らし始めた、愛犬のYogi

リモートワーク開始とともに一緒に暮らし始めた、愛犬のYogi

——メキシコから来たソフィさんが感じる、日本の文化の特徴とは? さらに、コロナ禍という試練を乗り越え、日立製作所のメンバーとして働いていく意気込みを伺いました。

私個人の意見ではありますが、日本人の考え方や文化は、メキシコの文化とは正反対のような気がします。メキシコの人たちはとても親しみやすくて、外向的で、何事も気にしないというか、何をするにも、リスクを冒すことすらも楽しんでいます。私たちメキシコ人は、常に自分たちを笑いのタネにして笑って生きていて、ユーモアのセンスがとても強いんです(笑)。厳しい状況で生き抜くための防衛本能みたいなものかもしれません。

もちろん、日本人にも独特のユーモアのセンスがあると思います。でも、日本人特有の「敬意」というものの影響力が非常に大きくて、何かを悪く言ったり、ふざけたりするのが、何となく無礼なことのような気がします。日本のユーモアって、表現が微妙なところがあって、何事も前後関係や文脈次第なので。メキシコでは、何でもストレートなんですよ。時に傷つけるようなことを言っても笑っている、みたいな。これが、文化の違いなのかもしれないですね。

今度、コロナ禍以降初めてメキシコに帰国できるんです。日本に戻ってきても、14日間はリモートワークですが、すぐに働けるようになりました。これからも、日立製作所で私の経験を活かしていけるように頑張りたいと思っています。

取材後記

プロダクトデザインをメキシコの大学で学び、あるとき出会った教授がきっかけでサービスデザインに憧れ日本へとやってきたソフィさん。まさに地球の反対側で、それまでと真逆の手法であるスペキュラティブデザインを学びます。彼女の話を聞いていて、さまざまなメンバーがいるCSIの環境は恵まれているのだと改めて感じました。文化の違いは当然あるので、その多様性を楽しみながら、一緒に働いていきたいと思います。

コメントピックアップ

画像2: メキシコから見た日本はファンタジー?異文化の中で働くこととは│Nowism 社会を切り取る視点の蓄積

私も千葉大学に入学したばかりの2001年当時、同じような体験をしました。 4月上旬のある講義の初回、「間違いなく、プロダクトデザインの時代はもうすぐ終わる。あなた方のほとんどはプロダクトデザイナーになることはできない」と先生に言われたのです。本当に衝撃的でした(笑)。しかし、先生のおかげでデザインに対する視野を広げることができたと思っています。

画像3: メキシコから見た日本はファンタジー?異文化の中で働くこととは│Nowism 社会を切り取る視点の蓄積

楽しく読みました!知っているかもしれないけれど、私がイギリスの企業と取り組んだ「Future Trust」というプロジェクトをシェアします。とてもワクワクする、デザイナーとしてのマインドセットを拡張する大きなチャンスになったプロジェクトでした。

画像4: メキシコから見た日本はファンタジー?異文化の中で働くこととは│Nowism 社会を切り取る視点の蓄積

新型コロナウイルスの影響で私たちが家にいるので、我が家の犬も一人で家にいることができなくなりました。でも、犬を抱っこしながら仕事ができるのは私も嬉しいです。

Nowism 社会を切り取る視点の蓄積

日常の生活や出来事をとおして、いま、この時代でしか得られない感覚や発想に迫る、研究開発グループのメンバーインタビュー

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