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日立製作所研究開発グループが実施するオンラインイベントシリーズ「協創の森ウェビナー」。今回のテーマは「社会トランジションとAI」。デジタルテクノロジーは、私たちの生活にとって必要不可欠になりつつあります。また、デジタルテクノロジーが生み出す大量のデータを用いて、認識、予測、判断などの知的行動をコンピュータに実行させるAI技術への期待も高まっています。今後デジタルテクノロジーやAI技術は、社会にどのような価値をもたらすのでしょうか。日立製作所 研究開発グループ テクノロジーイノベーション統括本部(CTI) 副統括本部長の西澤格が、社会インフラに観点を置いて、デジタルとAIの価値を掘り下げてお話しします。

プログラム1
プログラム2「未来を思索するためのSFプロトタイピング」
プログラム3「EUのAI規制政策と企業のリスクとチャンス」

デジタルとAIでインフラストラクチャー(社会基盤)を支える

日立は1910年の創業時から一貫して人々の豊かな生活、地球全体の豊かさを支える製品・システム・ソリューションを提供してきました。日立の技術によってインフラストラクチャー(社会基盤)を支えることで、経済発展と社会課題の解決を両立させ、あらゆる人たちが生き生きと生活できる社会の実現をめざしています。

デジタルやAIによる革新は、リアルとサイバーな世界で急速に起こっています。リアル空間では、工業ロボットにおいて自動運転など自動化が進行しています。身近なところでは、電子マネーなどの決済サービスやSNS、スマートスピーカーなど、デジタルやAIによって社会インフラが変わりつつあることは、誰もが実感されていると思います。

サイバー空間では、意思決定、コミュニケーション、マッチング、メディア広告、世論形成まで、デジタル技術が大きな変革を起こしつつあります。たとえばVR(バーチャル・リアリティ)によって仮想の生活を楽しむことで、リアルな世界よりも充実したコミュニケーションが可能となるかもしれません。また、経済面では1秒間に数千回の取引を可能とするアルゴリズムトレード(コンピュータがマーケットの動向を判断して、自動的に株式売買注文のタイミングや数量を決めて注文を繰り返す取引)が、投資環境を激変させました。

画像: 未来を想像して技術を導く

未来を想像して技術を導く

デジタルとAIが社会の課題を解決するイノベーションとなる

リアルとサイバーにおいて、デジタルとAI双方の進化が進み、さらにリアルとサイバーをデジタルとAIがつないでいくことで、社会が急速に変革していく時代が始まっています。私たちはデジタルとAIが社会の課題を解決するイノベーションをおこし、よりよい世界をつくっていくことに貢献していきたいと考えています。現在進行している3つの事例を紹介します。

画像: デジタルとAIが社会問題を解決するイノベーションをおこす

デジタルとAIが社会問題を解決するイノベーションをおこす

ユーザーの快適性と環境負荷を最小化するモビリティ分野

モビリティ分野のプロジェクトでは、駅の混雑や列車内のセンサデータから利用状況を分析し、列車の運行本数を自動で最適化するシステムを開発しました。人の移動需要とモビリティ資源を最適にバランスさせることで、ユーザーにとって快適でありながら、かつ環境負荷の小さいモビリティシステムを実現することをめざしています。鉄道のみならず、さまざまな移動インフラに適応させることで、人と環境にやさしいモビリティシステムを作っていけると考えています。

画像: ユーザーにとって快適でありながら環境負荷の小さいモビリティシステムを開発

ユーザーにとって快適でありながら環境負荷の小さいモビリティシステムを開発

デジタル技術により最適な医療を提供するヘルスケア分野

ヘルスケア分野では、バイオマーカー探索サービスを開発しました。膨大な医療データの中からAIが医薬品の効果に関連する因子を抽出し、医薬品の効果を表す指標を自動的に生成します。これによって効果の高い医薬品の開発期間が短縮できます。また、人間の診察の限界をデジタル技術で飛び越え、個々の患者に最適な医療を提供するパーソナライザーヘルスケアによって患者のQoL(生活の質)を向上させるとともに、医療費の支出を抑え、医療システムの持続可能性を向上させることができると考えています。

画像: デジタル技術でよりよい医療を提供するパーソナライザーヘルスケアを開発

デジタル技術でよりよい医療を提供するパーソナライザーヘルスケアを開発

技術の伝承や作業の安全を確保するインダストリー分野

インダストリー分野では、身体に装着したセンサおよびアイトラッキングカメラを用いて、動作を判定・評価するAI技術を開発しました。この技術によりAIがリアルタイムに動作を評価し、正しい動作を指示することで非熟練者の作業をサポートします。

また、衣服型センシングデバイスを用いて作業者の骨格を推定し、作業の負荷を数値化する技術を開発しました。作業中の負荷の増大に対してアラートを出し、作業員の安全を確保します。産業現場の中にデジタル技術を投入することで、人口減少社会においても熟練の技の伝承、作業の安全を確保していけると考えています。

画像: 人口減少社会に対応したシステムにより熟練の技の伝承、作業の安全を確保

人口減少社会に対応したシステムにより熟練の技の伝承、作業の安全を確保

「ガバナンス」「トラスト」。AI技術活用のための2つの柱

AI技術を活用して良い未来をつくるためには、開発や活用の過程でガバナンスを効かせる必要があります。中でも、世界各国の価値観や方向性を理解した上で、ルールや規制の整備を進め、準拠することが重要です。

もうひとつ大切なのが、AI技術を含む社会システムの信頼(トラスト)構築です。トラスト獲得のためには、AIの学習データやモデルの品質を担保する技術、プライバシーを確保する技術、倫理面をチェックする技術など、技術面の取り組みだけでなく、社会科学、行動科学、倫理学など、あらゆる面からの考察も必要です。加えて、私たちはステークホルダーとの対話を重視し、世界各国の有識者との議論や、社会インフラを利用する市民との対話に取り組んでいます。

画像: 信頼(トラスト)構築のため、ステークホルダーとの対話を重視

信頼(トラスト)構築のため、ステークホルダーとの対話を重視

ガバナンスとトラストの構築により、目指す未来に向けて、AI技術と社会システムが社会をトランジションさせる力を持つと考えています。デジタルやAI技術が発展することで、世の中がより効率的に、より便利に、そしてより豊かになっていくという期待に私たちは応えていきます。

次回はSFを活用して未来をつくる「SF(サイエンス・フィクション)思考学」の研究にいち早く取り組む筑波大学の大澤博隆助教と、日立製作所 研究開発グループ テクノロジーイノベーション統括本部 副統括本部長の西澤格が、“説明可能なAI”とは何か、そしてSFプロトタイピングの基本的な解説から生かし方まで話し合います。

画像: デジタルとAIが社会インフラに新たな価値をもたらす│協創の森ウェビナー第4回「社会を支えるAIの未来」プログラム1

西澤 格
研究開発グループ テクノロジーイノベーション統括本部(CTI) 副統括本部長(Deputy General Manager, Center for Technology Innovation)

1996年東京大学大学院 工学系研究科 電気工学専攻 博士課程修了後、日立製作所 中央研究所 入社。並列データベース管理システムのクエリ最適化、異種データソースアクセス機構の研究開発に従事した後、ファイルシステム、データベース管理システム、ストリームデータ管理システムなどのミドルウェアシステムの研究開発取り纏め。2013~2014にITプラットフォーム事業部門に異動し、グローバル市場向けリアルタイムデータ管理ソリューションの開発に従事。2016年に研究開発部門に戻り、2015~2016年はCME (Communication, Media and Entertainment)および金融バーティカルの顧客協創プロジェクトを牽引。2017~2019年には、テクノロジーイノベーション統括本部デジタルテクノロジーイノベーションセンターのセンタ長として、AI、メディア処理、データサイエンス、サービスコンピューティング、データストレージシステムの研究を牽引し、2020年より現職。社会イノベーション事業を支える革新技術、特にデジタル技術の研究開発を統括。2002~2003年スタンフォード大学コンピューターサイエンス専攻 客員研究員、2018年ハーバードビジネススクールAdvanced Management Programを修了。ACM、情報処理学会、電子情報通信学会各会員。博士(工学)、技術士(情報工学部門)。社会イノベーション事業技術を支える技術革新、特にデジタル技術の研究を統括。

プログラム1
プログラム2「未来を思索するためのSFプロトタイピング」
プログラム3「EUのAI規制政策と企業のリスクとチャンス」

協創の森ウェビナーとは

日立製作所研究開発グループによるオンラインイベントシリーズ。日立の研究者やデザイナーとの対話を通じて、新しい協創スタイルの輪郭を内外の視点から浮き上がらせることで、みなさまを「問いからはじめるイノベーション」の世界へいざないます。

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