プログラム1
プログラム2「暮らしとシゴトのちょうど良い関係」
外部エキスパートとの協創で実現したプロダクト
私たち日立デザインはこれまで、さまざまなプロダクトやサービスのデザインを手がけてきました。その際、それぞれの領域で優れた知見をお持ちのエキスパートの方々との協創を通じて、お客さまの生活やビジネスの現場における課題、ニーズをデザインに生かしてきました。
例えば、Silent-Iconic(サイレントアイコニック)という名前のオフィス用空調は、空間設計全体の意思決定権を持つ、設計事務所や建設業者などの設計者の方々との対話を通じてデザインを進めました。
協創を通じて、空調機器として独立した存在ではなく、建材の一部としてデザインする必要があるという気づきを得ました。Silent-Iconicは、水平垂直を基調とする建築空間に馴染むと同時に、機能を担保し、価格面も抑えた新しい空調の姿を実現することができました。
そして、台湾特急 EMU3000。このプロジェクトでは、デザインプロセスの中でお客さまである台湾鉄道の関係者さまだけでなく、台湾現地のデザイナーや、乗客となる市民の方々との対話を重視しました。
台湾らしさとは何か。台湾の将来に向けた思いや、車両に対する期待など、議論を通じて多くのインプットを得ながら、これから先の長い間、地域の誇りとして愛され続ける車両となるよう取り組みました。
インテリアから発想した冷蔵庫(RHWS47KC)の開発には、インテリアの視点から暮らしの豊かさに取り組む株式会社アクタスの皆さんと協創を進めました。
暮らしに溶け込むデザインをめざし、調度品のプロフェッショナルとしての知識や経験を持つアクタスの皆さんと、お客さまの場を共に感じ、お互いの考えや思いをぶつけ合いながら、開発に取り組みました。
先を見通すことが不可能な時代、協創が課題解決の糸口になる
現在、私たちはこれまでにない急速な社会変化の渦の中にいます。SDGsで挙げられている社会課題は今後も状況を変え、私たちの身の回りでさまざまな影響を与えることになるでしょう。
そのような状況の中で、2019年に世界を一変させたCOVID-19によるパンデミックは私たちの価値観、暮らしに非常に大きなインパクトを与えました。その影響は日常の生活スタイル、働き方、家族と友人との向き合い方、公共機関やサービスとの関係などにおよび、私たちの社会を大きく変えつつあります。
今回のパンデミックが私たちの暮らし、生活をどう変えたのか。極力人混みを避ける中、在宅勤務の機会が増えたことで朝夕の通勤時間が減り、多くの方がその時間を家事や睡眠、趣味や習い事にあてるようになりました。例えば、お子さんの送り迎えの時間や夕食のための時間など、ウィークデーのプライベートも仕事用のスケジューラーに書き込むようになりました。
私たちはいま、自分に合った新しい生活のリズムやスタイルを試行錯誤し、模索しているのではないでしょうか?
こうしたパンデミックのような社会インパクトは、特別な一度きりの出来事ではなく、これからの私たちの暮らしにさまざまな形で問題を投げかけてくることが予想されます。私たちは、サステナブルな社会の実現をめざし、新しいソリューションを生み出し、社会イノベーションを起こしていきたいと思います。
まさに予測困難なVUCAの時代、私たちは事象を多面的に多元的に捉えて解決していかねばなりません。そのためには、知識や経験を有するパートナーと、価値を共に感じ、実現する協創がますます重要になると考えています。
――次のプログラム2では、「暮らしと仕事のちょうど良い関係」と題して、冷蔵庫の開発でもパートナーとしてお世話になっている株式会社アクタスの野口さん、徳増さん、岡田さんを交えて対談形式で、アフターパンデミックの職住スタイルについて掘り下げます。家電からウェルネス、地域コミュニティ向けソリューションまで、幅広いレンジで価値観変化とライフスタイルの変化を議論します。
注 VUCA…「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の4要素により、将来の予測がつきにくい状態を表す造語。
武藤 圭史
日立製作所 研究開発グループ 東京社会イノベ―ション協創センタ
プロダクトデザイン部 部長(Department Manager)
1996年日立製作所入社、白物家電、AV機器、鉄道、金融システムなどのプロダクトデザイン、ユーザ・インタフェースデザイン、コーポレートブランディングを担当。2018年より現職にて、広く日立Grの製品・サービスのデザインを推進。
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