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日常の生活や出来事から得られる、いま、この時代でしか得られない感覚や発想。それら「社会を切り取る視点」を、研究開発グループのメンバーのインタビューから見つけるコンテンツ、Nowism(ナウイズム)。今回登場するのは、2021年に入社後、高齢者向けの新しい金融サービスに関わっている依田崚汰さん。散歩と料理が趣味で、東京駅から職場のある国分寺駅まで歩いてみたこともあるそうです。(2021年12月収録)
画像1: 物理学出身の研究者が語る、サービスアイデアとの意外な共通点 │ Nowism 社会を切り取る視点の蓄積

依田 崚汰
研究開発グループ デジタルサービス研究統括本部
社会イノベーション協創センタ
社会課題協創研究部 総合職研修員 (Trainee)

2021年入社。「持続的な社会に貢献するエネルギー×金融を中心としたデジタル異業種連携サービスの創生」をミッションに掲げる部署にて前期・後期高齢者向けの新しい金融サービスのビジョン、事業コンセプトの作成〜サービスアイデアの検討までを行う。学生時代の専攻は素粒子物理学。

前期・後期高齢者向けの金融サービスアイデア提案に向けて、現在は、想定ユーザーと有識者へのヒアリングを通して、アイデア・企画のためのリサーチに臨んでいるという依田さん。その難しさと、今興味を持っているという金融サービスとは?

僕は、事前調査から、めざすべき将来像と事業コンセプトの策定、そしてサービスアイデアの検討までの業務を担当しています。入社1年目の自分にとって、高齢者が抱えるリアルな課題感を掴むという仕事の難易度は高いのですが、そこは頑張って、高齢者になりきったつもりで検討を進めています。現在は後期高齢者の遺言関連のサービスから、退職直後の世代が抱える「何か新しく始めなきゃと思っているけどなかなか一歩踏み出せない」という漠然とした悩みに答えるサービスまで幅広く検討しているところです。こうしたサービスの実現のために我々ができることを、金融機関の方々と一緒に議論していければと考えています。

そんな中で最近興味を持ったのが、P2P保険というサービスです。これはたとえば、ものを買ったあとのキャンセル費用や返品代などに備えて、ネット上でお金を募って貯めておくというシステムです。いわゆる、金銭の融通を目的とする民間互助組織の「頼母子講」に近しいところがあります。ちなみに、僕の出身地である山梨県でも、知っている人同士でお金を出し合って、ちょっとしたことに備えておくという文化があり、「無尽」と呼ばれています。こうした古来よりある「繋がり」が、今はネットを介して受け継がれているのが面白いなと感じています。

画像: 高齢者になりきって新しい金融サービスを検討するかたわら、自宅では凝った料理に挑戦しているそう。写真は、牛乳パックを活用して作った焼き鯖寿司。

高齢者になりきって新しい金融サービスを検討するかたわら、自宅では凝った料理に挑戦しているそう。写真は、牛乳パックを活用して作った焼き鯖寿司。

大学院での専攻は、素粒子物理学。特に数値計算を使った研究や理論物理を学んでいた経験と現在の仕事にある、意外な共通点とは?

小学生の頃からなんとなく、「学生時代は素粒子の世界を突き詰めよう」と決めていたので、大学院では素粒子物理学を専攻し、物質の質量の起源について研究していました。特に、原子核という超ミクロなスケールから、中性子星という天体スケールまでの実験値を扱いつつ、いろんなモデルを試行錯誤しながら、物質の質量生成メカニズムを研究していました。おもしろいことに、スケールが全く異なる原子核と中性子星の物理が、同じモデルで記述できるんです。そのおもしろさにとりつかれて…(笑)。

いろいろな方と議論をする中で、もちろん数式や理論的考察に基づく部分も多いのですが、「この現象にはきっとこんな物理があるはずだ」という信念や洞察から議論が始まり、実際に数式や図に書き起こしながら形にしていくという経験をよくしました。こうした経験がきっかけとなり、サービスアイデアという概念をいちから形にしていく仕事に興味を抱き、今の仕事を選びました。この一年を振り返ると、サービスアイデアと物理は、表現の形式こそ違いますが、形のないものをイメージして作り出していくという意味で共通点は多いなと感じています。今後は、単にアイデアを形にするだけでなく、自立したサービスとして社会に実装するまでに挑戦していきたいと思っています。

物理の世界では、数年前に初めて重力波が検出されたことが大ニュースになりました。実は、重力波検出によって得られた中性子星の情報から、物質の質量の起源に関する新たな情報がわかったんです。学生時代からずっと、そのロマンに心惹かれ続けています。もし、こういったジャンルに同じようにドキドキしてくれる方がいたら、ぜひ声をかけてください。

編集後記

本編に入り切らなかったのですが、入社までのエンゲージメントでもネットにアップされた「協創の森」の動画を活用し、引っ越しも実際に内見することなくネットで決定したという依田さん。学生時代に素粒子と睨み合いながら理論物理で鍛えたアタマは、「そこにないものをイメージする」逞しさに溢れています。10年後、依田さんがどんなクリエイターになっているか楽しみです。

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画像2: 物理学出身の研究者が語る、サービスアイデアとの意外な共通点 │ Nowism 社会を切り取る視点の蓄積

「日立は(事業として)プレシニアとの接点が少ない」...けど内部にうじゃうじゃいるので調べごとには困らないはず。癖の強い年代なので扱いはちょっとめんどくさいですけど。自分もプロジェクトに高齢ユーザーとして参加していて口を出しては眉をひそめられてます。

画像3: 物理学出身の研究者が語る、サービスアイデアとの意外な共通点 │ Nowism 社会を切り取る視点の蓄積

2017年の重力波初検出に関するノーベル賞のニュースはわくわくしましたー。太陽の30倍くらいの質量をもつ物体が、光速の半分くらいの速度で350kmの距離でぐるぐる回ってぶつかって、太陽3個分の質量が消えるまでが、0.2秒の間に起こるってすごくないですか。

画像4: 物理学出身の研究者が語る、サービスアイデアとの意外な共通点 │ Nowism 社会を切り取る視点の蓄積

日常には全く関係が無いのに、人はなぜブラックホールにワクワクするのか? それが知りたくて、京大のブラックホール研究者にインタビューに伺いました。事前に読んだ本で、銀河系の直径スケールの宇宙ジェットを噴出しているブラックホールもあるとか知ると、人類の社会課題とか、しばし、いいか、と思えてもくる。

Nowism 社会を切り取る視点の蓄積

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