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日常の生活や出来事から得られる、いま、この時代でしか得られない感覚や発想。それら「社会を切り取る視点」を、研究開発グループのメンバーのインタビューから見つけるコンテンツ、Nowism(ナウイズム)。
今回登場するのは、地域から未来をつくる活動をしているFuture Living Labで、神奈川県三浦地域の農家とともにプロジェクトを進めている金田麻衣子さん。コロナ禍での小学校休校中、戦略デザインファーム(株)BIOTOPE代表・佐宗邦威氏のオンラインワークショップに子どもと参加。100人ほどの小中学生をしっかり巻き込んでいく佐宗さんの手腕にオンラインワークショップのやり方を学びつつ、家族の素敵な思い出を作ったそうです。(2020年11月収録)
画像1: 家族でキャンプ三昧の日々を振り返って感じる、環境と気持ちの変化│Nowism 社会を切り取る視点の蓄積

金田 麻衣子
研究開発グループ デジタルサービス研究統括本部 社会イノベーション協創センタ サービス&ビジョンデザイン部 主任デザイナー(Design Lead)

2004年入社、医療製品や金融製品のUI・UXデザインを担当したのち、顧客協創におけるツール開発やイノベーション事業検討プロジェクトに従事。2019年よりサービス&ビジョンデザイン部に在籍し、未来洞察を活用したビジョン駆動型のワークショップを実施するほか、地域の生活者と対話し未来の地域について考えるFuture Living Labを推進。

お子さんが3歳の頃から家族でキャンプに出かけ、かれこれキャンプ歴7年になるという金田さん。最初は大変なことも多かったものの、2年ほど前からだんだん気持ちが変化してきたと言います。

中高校生のお子さんがいる知人に「親と出かけるのを楽しみにしてくれるのは、9つの“つ“がつく歳までくらいかな」と聞いて。当時、長女がもうすぐ3歳になるところだったので、「あと7年しかない!」と焦って、家族でキャンプに行くようになりました。最初にテントなどのお金がかかるキャンプグッズを全部買い揃えてから、春と秋は月1ペースでキャンプをしています。

夫はもともとキャンプ大好きですが、私自身は、最初はイヤイヤながら行っているところもあって。準備や帰ってきたあとの片付けは多いし、結局行った先でも育児をしないといけないので、大変と感じることが多かったんです。でも、キャンプ場がひとつの集落みたいになる夕方の風景や、ご飯を食べている時の気持ちいい風、先週もキャンプに行ってきたんですけど、寒い中、湯たんぽが入っている寝袋に足を入れたときの温かさとか、そういうすごく気持ちのいい瞬間が時折あることで、キャンプに対する気持ちが前向きに変化してきました。
自分も歳を重ねて余裕が生まれ、子どもが大きくなってきたので現地でたくさん遊べるようになったのが大きいと思います。さらに、7年の経験値から「こうしておけば楽」とか「うちの家族に合うのはこういうキャンプ場」みたいなコツもわかってきて、どんどん気持ちいい瞬間が増えました。今はコロナ禍ということもあって家族4人でキャンプに行っていますが、また友人家族と一緒に行ける日が楽しみです。

画像: 日が沈むと次々にテントに灯りがついて集落のように見えます。昨年はついに念願の北海道10泊キャンプにも挑戦しました。

日が沈むと次々にテントに灯りがついて集落のように見えます。昨年はついに念願の北海道10泊キャンプにも挑戦しました。

リモートワークをするなかで気持ちの変化に気づいたという金田さん。母校の多摩美術大学で、学生にビジョンデザインを教えているなかで、違う価値観を持つ学生たちから受ける刺激や発見についても語ってくれました。

仕事における変化でいうと、リモートワークを経験したことによって、これまでいろんな場面で、知らないうちに心の中で「ごめんなさい」を感じていたことに改めて気づきました。
入社時から上司や同僚の方に恵まれて、もともと週一で在宅勤務に挑戦するなど、いろいろな働き方に挑戦させてもらってはいたんです。コロナ禍により、基本リモートワークになったことで、小学生の子どもが「ただいま」って言うのを聞いて仕事を切りあげるとか、家から歩いて5分の保育園に子どもを送ってすぐに仕事を始める、みたいな生活ができるようになりました。子どもが小学校4年生になり、学童がなくなったタイミングでもあったので、帰ってきてランドセルを置いて「行ってきます」って公園に遊びに行くようになりましたね。

今までは、16~17時に会社を出る時に「お先に失礼します」と言いながら、心の中で「ごめんなさい」と思っていたんです。保育園へのお迎えが遅くなった時も、保育士さんに「ごめんなさい」とか、子どもにも遅くなって「ごめんね」とか、たびたび心の中で「ごめんなさい」って言っていたことに気づきました。無理しているとは思っていなかったですけど、実はマイナスな気持ちが心の中にあって。それがなくなったことで自由を感じていますし、「ああ、こういう世界っていいな」とポジティブになれたのが、個人的にはすごくいい変化だなと思っています。

また、最近は多摩美術大学で、未来の“信頼”について考えるプロジェクトに参加しています。大学生が考える未来の“信頼”はどういう考えから生まれるかなど、いろいろ勉強させてもらうことが多いです。
世代が違うこともあり、学生さんから質問を受けた時に、私が勝手に判断して答えそうになるのですが、その質問の中にまだ知らない何かが隠れていたり、深く掘り下げれば自分にはない価値観が背景にあるかもしれないのに、勝手に自分のフレームで判断して「それはこういうことだよね」と考えてしまうと、すごくもったいないなと。立場が違うので学生さんからはそんなに強く言ってこないぶん、ちゃんと自分が知らない価値観にアクセスして答えられているか気をつけるようにしています。教えるという立場で参加しつつも、こっちが教えてもらうことも多い。共同研究の難しく楽しいところだと感じました。

編集後記

入社当時、天真爛漫さが際立っていた金田さんが、今では家族を想い、ビジョンデザインを大学生に教える落ち着いた立派なデザイナーに……。時の移ろいを感じます。リモートワークでの生活の変化や子どもとの関係、立場や価値観が違う大学生から受け取る刺激など、さまざまなところでの学びを糧にされていることが伝わってきました。

コメントピックアップ

画像2: 家族でキャンプ三昧の日々を振り返って感じる、環境と気持ちの変化│Nowism 社会を切り取る視点の蓄積

「ごめんなさい」の話は共感しすぎて……。一人目の産休復帰直後や、仕事復帰&保育園入学&小学校入学のトリプルでつらかった時期を思い出してうるっときました。「悪いことをしているわけじゃないのに、どうして謝ってばかりなんだろう」と悶々とした日々……。職場やみなさんの理解とサポートに支えられ、ここまで来られて本当に感謝。これからは自分がみなさんをサポートする番ですね。

画像3: 家族でキャンプ三昧の日々を振り返って感じる、環境と気持ちの変化│Nowism 社会を切り取る視点の蓄積

子どもとの蜜月が9歳までという話に非常に焦りを感じました。あと5年しかないのか!ちょっと優先順位を見直そうと思います。

画像4: 家族でキャンプ三昧の日々を振り返って感じる、環境と気持ちの変化│Nowism 社会を切り取る視点の蓄積

今の職場は、女性だけでなく男性の方が本当に育児にどんどん参加されていて、相談できる方がたくさんいるなぁと体感しています。
そして、まさに長女が今9歳で、あと半年で「つ」が終わります。最近、週末は「友達と遊んできまーす!」と勝手に公園に行くようになり、じわじわと蜜月の終了を感じるようになりました。

Nowism 社会を切り取る視点の蓄積

日常の生活や出来事をとおして、いま、この時代でしか得られない感覚や発想に迫る、研究開発グループのメンバーインタビュー

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