石黒 正雄
研究開発グループ デジタルサービス研究統括本部
デザインセンタ
ストラテジックデザイン部 主任研究員(Chief Researcher)
1994年入社。当時は、日立PC「Prius」に搭載する地デジ受信ソフトや、液晶テレビ「Wooo」のおすすめ番組機能等の組込ソフト開発に従事。現在は、協創プロセスにおけるサービスアイデア創出やビジネスモデル設計、事業性評価等を支援するITツールの開発および社内展開を推進している。
かつては大のゲーム好きだったという石黒さん。緊急事態宣言下のステイホームをきっかけに、ゲーム熱が再燃する中で感じた気づきを語ってくれました。
就職したとき、寮にゲーム機を持ち込んで夜な夜なプレイするくらいゲームが好きだったんですが、家庭を持って子どもと一緒に遊ぶことが中心の生活になってから、ゲームへの興味はほとんどなくなっていました。
でも、緊急事態宣言下のステイホームと、娘が大きくなったこともあって、再び興味が湧いてきたんですよね。ちょうど昔やっていたゲームのリメイク版が発売されたので、まずはYouTubeで実況動画を見てみたんです。それまではYouTube自体にも興味はなかったんですが、少し見始めたら面白くて。意識の底にしまいこんでいたゲーム欲が表に出てきて、ついに新しいゲーム機を買ってしまいました。
それでゲームをやっているんですが、実を言うとYouTubeの実況動画を見ているだけでも面白いんですよね。どうしてだろうと考えたら、子どもの頃に、友達の家で交互にゲームをやりながら「こうしたらいいんじゃないか」「そこは違うんじゃないか」と言い合った楽しさに似ているんだなと。実況動画の場合はオンライン上にいる見も知らぬ人が相手ではありますが、同じように他人のプレイを見ていろいろ考えるのが楽しいんですよ。だから、外から見ているだけで満足感が得られる。今、ネット社会になって、オンラインのつながりにおける新しい楽しみ方が生まれてきているのかなと思います。
もう一つ石黒さんが興味を持っているのが、バーチャル旅行サービス。いったいどんな人が参加するのか気になっているといいます。
ステイホーム期間や移動制限がかかっていたとき、旅行会社などがバーチャル旅行サービスを提供して話題になりましたよね。私自身は参加していないのですが、気になって調べていたんです。
体験してみたいとは思いつつ、やっぱり有料であるというところにハードルを感じています。現地に行かずに家で映像を見て、ガイドと会話するという体験に対して、お金を払ってまで参加したいかというと、私はそう思えなかったんです。だから、利用したいと思うのはどういう人なんだろうと考えていました。
私くらいの歳になると、体力的にユースホステルに泊まるのが厳しくなってきますけど、いろいろな人と体験を共有するあの雰囲気は好きだったんですね。だからといって、メタバースのようにオンライン上のCGキャラクターになって世界を共有したいわけでもない。そんな人にとっては、バーチャル旅行の体験がちょうどいいのかもしれないなと思いました。協創環境開発の視点からも、そこでどのような体験が求められているのか、またバーチャルでの空気感の共有や人とのつながりとはどういったものなのかを考えていきたいですね。
編集後記
リモートワークの在宅時間をきっかけに、改めて暮らしを振り返り、思い出すように趣味を再開する気持ちに共感しました。実況動画を見るだけで満足できるようになっていたという変化には驚きですが、暮らしの慣性に良いブレーキがかかったのかもしれませんね。
コメントピックアップ
石黒さんがゲーマーだったとは! 我が家は、サンタクロースからフィットネスゲームが届きました。もはや子どものためというより、大人のためです。
祖母が旅番組を観て過去の旅行を追体験していましたが、それをリアリティを持って体験できる時代になっているのでしょうか。もしくは、自粛期間中に子どもたちがYouTubeのバーチャル遊園地にハマってたくさん観ていましたが、そんな感じかも?
買い物におけるリアルとバーチャルの境界線はだんだんぼやけてきていると言われますが、リアルな体験の王道といえる旅行においての境界線は、ユースホステルに行けなくなった大人たちの郷愁がぼかすのでしょうか。