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研究開発グループのメンバーが普段の生活で、どのようなことを考え・感じているのか、個々人の注目するモノやコト、それに対する価値観を覗き見るコンテンツ、Che・ke・la・bo(ちぇけらぼ)。今回は、北米で産業デジタルやサーキュラーエコノミー領域の研究開発・事業立ち上げに取り組む那須弘明さんが、車中心の街づくり、州ごとに異なる制度、雄大な自然との向き合い方など、アメリカで暮らす中で実感した日本との違いについて語ります。
画像1: パフォーマンスと本音が同居する、アメリカの面白さを味わいつくす

那須 弘明
HITACHI AMERICA, LTD. Research and Development, Financial Innovation Lab Chief Researcher

2009年に日立製作所入社。金融・物流・鉄道・産業領域において、企業・部門横断のKPI設計や、業務制約を反映した数理モデリング/シミュレーション技術を活用し、顧客との協創を通じたソリューション開発を推進してきた。現在は北米にて、産業デジタルおよびサーキュラーエコノミー領域のソリューション開発と、事業化に向けた検討を担当している。

ハンドルを握ってわかった、アメリカ社会の合理性

アメリカへの赴任が決まってまず運転免許取得のために自動車教習所に通いました(笑)。というのも、実は、それまで運転免許を持っていなかったんです。バスや電車でどうにかならないかと思ったのですが、アメリカへの赴任経験のある周囲からも安全面で車は必須だと言われ、春休み中の学生さんたちに混ざって講習を受け、なんとか免許を取得。本当にギリギリでアメリカへ渡りました。そんなわけで、初めて運転したのもアメリカに行ってからなんです。赴任後にまず、前任者から譲り受けた車を取りに行くというミッションがありまして、先輩や後輩についてきてもらいながら、初めての公道を運転しました。本当に怖かったですが、周りはもっと怖かったでしょうね(笑)。いまはだいぶ慣れてきて、休日には車で家族旅行にも出かけるようになりましたが、人生でほぼ右側通行の車道しか運転していないので、日本に戻ったら運転はしないかもしれませんね……。

車社会だけあって、アメリカの道路はとても合理的な仕組みになっています。歩道もしっかり整備されていますし、信号システムひとつ取っても、大きい交差点では、人の動きと車の動きが完全にセパレートされています。日本の道路のように、右折や左折をしようとして横断歩道の手前で一旦停止する、といった光景が極力少なくなるように設計されている印象です。街並みも合理的です。区画ごとに小規模な商店街があり、商店街には駐車場がついていて、といった街並みが続いています。街のつくり自体が車移動を前提としたデザインが徹底されているところなど、うまく全体が最適に設計されている部分は、日ごろ感じる米国の人々のおおらかさとは相反しているので、興味深いですね。

バスの中で知った人々の温かさ

せっかく車にも慣れたのですが、通勤にはバスを利用しています。私が利用している地域のバスは、ICカードが導入されているのに、降車の合図はボタンではなく、昔ながらの「紐」で行っているんです。座席の上についている紐を引っ張ると降車のサインが出るという、なぜかそこだけアナログなスタイルです。時々紐が切れるほど引っ張って、乗客と運転手が揉めていたりします(笑)。バスの治安などを心配されることもあるのですが、ここでは最後のライフラインの役割を果たしていると感じます。選挙の投票日には無料で乗ることができますし、たまにお金がなくても、「いいから乗りな!」と利用させてあげる運転手もいます。地域に根付いていて、いろいろな人が利用しているのがバスですね。ただ、どんな人でも、後からきた女性をレディーファーストで先に通して、降りるときにはみんな運転手に「Thank you!」とお礼を言って降りていきます。これらは、社会的な階層にかかわらず、習慣として定着しています。私も最初は恥ずかしくてなかなかできなかったんですが、だんだん慣れてきて、いまでは大きな声でお礼を言って降りています。こんなふうに、バスを通じて街のアットホームな部分に触れることができるのも楽しいです。

ありのままの自然と観光を両立する

アメリカの魅力のひとつが、雄大な風景です。グランド・キャニオンやヨセミテ国立公園に家族で行ったのですが、本当に広かったです。保護区内をバスや車で移動しながらいくつかのスポットで降りて、周囲の景色を楽しんだり、水遊びをしたり、キャンプをしたり、さまざまな楽しみ方ができます。そして、ひとつの岩、一本の木に至るまで、とにかく大きい。日本とはまったく違うスケール感に驚きました。アメリカは自然保護の考え方もユニークで、たとえば山火事があっても、それが人間の生活に影響しない限り、「それが自然の姿だから」ということで、あえて消火しないんだそうです(火災も生態系のプロセスの一部として扱うそうです)。保護区内にある石や草も基本的には、動かすことや採取、持ち帰りは禁止ですし、動物が人に触れて事故が起こったりしないようにガイドするレンジャーも配置されています。そうやって自然を保護する一方で、観光も成立させているところにアメリカらしさを感じます。ありのままの自然を保護しようと思うのなら完全立ち入り禁止にすればいいのですが、そこはちゃんと舗装した道路を通し、人を呼び込んで観光業に繋げている。パフォーマンスと本音がうまく両立しているんですね。

画像: スケールの大きい自然に囲まれて、日本とアメリカの違いに想いを馳せる

スケールの大きい自然に囲まれて、日本とアメリカの違いに想いを馳せる

こちらに来て、学びの機会が充実していることにも驚きました。住民であれば無料で参加することができるイングリッシュ・スクールがあって、私も3カ月ほど通いました。クラスには、さまざまなアイデンティティを持つ人が集まって学んでいましたが、基本的にはキャリアアップのための学習なんです。アメリカは転職も一般的なので、その分キャリアに対する意識も高いんだと思います。キャリアアップのために大学などの教育機関が無料でこうしたスクールを開いて、市民に受講の機会が与えられていることが、とても素晴らしいことだと思います。さまざまな学びの機会を自分なりに生かしながら、これからも仕事も生活も前向きに楽しんでいきたいと考えています。

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画像2: パフォーマンスと本音が同居する、アメリカの面白さを味わいつくす

初めての運転がアメリカであることや、バスでのやり取り、雄大な自然との向き合い方など、楽しそうに語っていた那須さん。アメリカでの生活を通じて見えてくる「社会の仕組みの合理性」や「人々の温かさ」など、異なる文化に触れることで、日常の当たり前がいかに多様かを感じます。那須さんが日本に帰国した際には、外から見えた「日本の日常の当たり前」の話をお聞きしたいです!【編集H 記】

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