Hitachi
お問い合わせお問い合わせ
研究開発グループのメンバーが普段の生活で、どのようなことを考え・感じているのか、個々人の注目するモノやコト、それに対する価値観を覗き見るコンテンツ、Che・ke・la・bo(ちぇけらぼ)。今回は、AIを活用した業務支援アプリケーション開発に取り組むPedro(ペドロ)さんが、日々の業務で感じている面白さややりがい、日本で出会ったコーヒーの新たな楽しみ方について語ります。
画像1: 地球の裏側から地球の裏側へ。ブラジル人研究者が探求する、AIとの「ちょうどいい関係」|Che・ke・la・bo

Pedro Baptista de Castro
研究開発グループ Digital Innovation R&D 先端AIイノベーションセンタ 社会インテリジェンス研究部 研究員

2023年日立製作所入社。グローバルに展開する事業での見積作業の効率化のため、AIを活用したソリューションの開発に従事。ヨーロッパ各地の工場と連携し、特にイタリアの工場とのコラボレーションを行っている。

AIとともに学び、働く試行錯誤の日々

ブラジルのリオデジャネイロから日本に来て、7〜8年ほどになります。日本ではブラジルのことを「地球の裏側」というそうですが、ブラジルでも同じで、「If you dig in Brazil, you get in Japan.」と言うんですよ(笑)。

学生の時に物理を学び、超電導の分野に興味を持つようになりました。その後日本に渡り、筑波大学の博士課程に進みました。研究の拠点はNIMS(物質・材料研究機構)だったので、大学には月に一度くらい行く程度でしたね。NIMSでは、機械学習を使って新しい材料を探す、いわゆるマテリアルインフォマティクスの領域に取り組みました。機械学習で材料の候補を出して、そこから本当にそれが使えるのかを実験で確かめていくんです。予測だけでは意味がなくて、最後は手で触れる現実に戻ってくる感じが興味深いと感じていました。

一方で、実験は大変です。材料を作るために混ぜ、溶かし、砕き、装置を洗い、場合によっては酸のような強い化学薬品も使いと、たくさんの作業があり、危険も伴うので、体力も気力も使います。実験の自動化が進められているのも納得です。材料の研究が進むと、技術も大きく進化します。いまは材料開発の分野からは少し離れていますが、NIMS時代の友人が発表する研究成果などをフォローしながら、少しずつ未来に進む研究の世界にワクワクしています。

いま開発に携わっている見積作業支援ソリューションは、お客さまから受け取る要求仕様書などの情報を読み取り、見積作成の工程をAIで支援するものです。工場の担当者が仕様書を読み、経験をもとにどのような製品を作ればいいのかを判断しながら見積りを作成していた工程を、AIを活用し必要な情報を取り出しやすくすることで負担を減らします。「工場で働く人たちにとって必要な機能とは何か?」を考え抜き、絞り込んで実装に反映していくことで、結果的に喜んでいただけることにとてもやりがいを感じています。ヨーロッパの工場への展開を進めているのですが、イタリア在住のスタッフとは毎日のように会話しながら業務を進めています。時差があるので、私が連絡するとほぼモーニングコールみたいになってますね(笑)。

学生時代から現在まで、AIを使いながら研究を進めてきましたし、プライベートでも日本語の勉強などスキルアップのためにもAIを活用していますが、実際は試行錯誤する日々です。AIから返ってくる答えに疑問を感じた時に、自分が判断できない分野で使うことには怖さを感じます。AIに寄りかかりすぎると自分のスキルが削れていく感覚があり、私自身はあまり頼りすぎないようにしています。この分野は新しい技術が次々と生まれて追いつくのも大変ですが、「何が必要とされている/しているのか」そして「どう使うのか」、一人ひとりが自分の考えの軸をもって使うことが大切だと感じています。すべてのスキルをAIに任せるのではなく、個人のスキル開発とも両立する。私たちが次世代に良い影響を与えることができるようなAIの活用を示していく必要があるのだと思います。

日本で出会ったコーヒーの面白さ

ブラジルはコーヒーの国とよく言われますが、良い豆のほとんどは輸出されてしまうので、特に美味しいコーヒーが飲めるとか、バリスタがたくさんいる、というようなことはありません。美味しい豆は売っている店も限られており、値段も高いです。コーヒーを楽しむようになったのは、むしろ、日本に来てからです。

以前、清澄白河の近くに住んでいたことがあるのですが、あの辺りは本当にコーヒーの街で、新しいお店を次々に発見しては入って飲んだり、豆を買って帰ったりしていました。もともとは深煎りが好きだったのですが、近頃は浅煎りも気になって、ゲイシャのような華やかな味わいの豆も試したりしています。ハニーウォッシュのコーヒーを飲んだときは、「これは本当にコーヒーなのか?」と思うくらい印象が違いました。

日本のコーヒー体験の中で面白かったことのひとつが、清澄白河で見つけたコーヒーのコースがあるお店です。淹れ方の違いをセットで楽しめたり、コーヒーを使ったモクテル(アルコールを含まないカクテル)のような一杯が出てきたり、季節のスープもついてくるんです。これは、一人でもたびたび訪れるくらい気に入っています。ブラジルに住んでいる家族もコーヒーが好きなので、日本に来た時に連れて行って喜ばれました。

画像: 挽きたてのコロンビア産のコーヒーとともに朝のひと時を楽しむ

挽きたてのコロンビア産のコーヒーとともに朝のひと時を楽しむ

家では基本的にハンドドリップです。毎朝、豆を変えて淹れて、パンを食べながら飲んでいます。機械で入れるとどうしても味が均一になってしまうので、ハンドドリップの方が環境の変化が楽しめて面白いです。コーヒーも、凝り始めると「この豆は何度で何秒間抽出すると美味しい」とマニアックになっていきますが、そこに行き始めると温度計やコーヒー専用の電子はかりなど、いろいろなコーヒー道具を揃える必要が出てきます。問題はそれを置くスペースがないことです(笑)。ですから、凝りすぎるのは避けています。

豆を選んで、挽いて、湯を注いで、香りを確かめて、味を見るといった小さな手順を踏むと、ちゃんと美味しいコーヒーができあがります。そうやって手で触れられる現実とつながる感覚が、実験と同じで私にとっては大切なんだと思います。

編集部より

画像2: 地球の裏側から地球の裏側へ。ブラジル人研究者が探求する、AIとの「ちょうどいい関係」|Che・ke・la・bo

普段の生活でも何かとAIを活用しているというペドロさんは、コーヒー豆のローストもAIで調整できないか考えたことがあるそうです。そんな実生活でのひらめきや工夫が、研究の発想にもつながっているのだと感じました。コーヒーのような身近な体験からも「探求」や「発見」は生まれる——そんな視点を大切にしていきたいと感じたインタビューでした。【編集C 記】

This article is a sponsored article by
''.