池本 悠
研究開発グループ 東京社会イノベーション協創センタ
価値創出プロジェクト 研究員(Senior Researcher)
入社以来、主に電力・エネルギー分野の研究に従事。現在は主に電力事業での新ソリューション提案・具体化を担当。プライベートでは2児の父であり、ジャズギターを嗜む。
——ジャズギターの趣味を持つ池本さんが、コロナ禍の影響でライブが開催できなくなっている状況をネガティブにとらえるだけではなく、今の時代ならではの音楽の楽しみ方を教えてくれました。
今、コロナ禍で、どんどんライブやイベントが中止になっているなか、ジャズ界も頑張ろうということで、オンラインでジャズフェスを開催したりしているんです。2002年から続く日本最大のジャズフェスティバルも、ストリーミング配信を行っていて、好きなパフォーマンスを選んで聴けるようになっています。ジャズイベントのオンライン版はもっと自由度が高く、世界の大御所のミュージシャンが自分のスマートフォンで録っているみたいな動画も見られます。たとえば、スマートフォンがうまく設置できなくて画面が横になっていたり(笑)、そういう緩さもおもしろいのでオススメです。
こういったオンライン展開の何がいいかというと、今までは自分で興味を持って現地に行かないと聴けなかったものが自宅で聴けるということですし、あとから好きな時間に無料で聴けるものもあるということですよね。しかも、自分の好みには合わないなと思ったらすぐに別の動画に移動もできる。オンライン展開のおかげで、ジャズの敷居が下がっていると感じています。
もちろんジャズの醍醐味は、お客さんとのコミュニケーションから生まれるその場の空気やグルーヴなので、それをどうオンラインの場で生み出すかという部分は、ミュージシャンも一生懸命考えています。ただオンラインで中継するだけだと自己満足になってしまうと考えている人もいるし、たとえば音楽番組みたいに、自分であらかじめ収録した動画を流しながら、合間にトークコーナーを挟むみたいな方法を取る人もいて、いかにオンラインに最適化したコンテンツにシフトするかを試行錯誤しています。
——さらに、プレイヤーでもある池本さんが興味を持っているのが、オンラインでのセッション。リモートで繋がることがどんどん当たり前になっている環境に、音楽はどう対応しているのでしょうか。
ステイホームということもあって、音楽仲間とデータを送り合って多重録音してみたり、最近はオンラインでセッションできるアプリをよく利用しています。オンラインを活用すると、自宅にいながら遠くにいる人と気軽にセッションできるのはすごくいいのですが、やはり音のズレがすごく気になる。そこでオンラインセッションアプリを使うと、タイムラグをなるべく少なくしてくれるんです。さらに、友人とセッションができるだけじゃなくて、コミュニティを作って匿名でセッションしたり、気軽に練習する部屋とか、レッスンする部屋を立ち上げたりすることもできるようになっています。
僕が実際にこのアプリでセッションをしてみて、それでもまだ0.1秒くらいは遅れているような感覚はあるんですけども、5Gの時代になったら、もっと遅延が補正されていくんじゃないかな。コミュニティ機能も、もっと広い世界で繋がっていって、自由な音楽の楽しみ方、制作の仕方が普及していくと考えています。今の状況下でも、ライブができないなりに新しい発想が生まれて、逆に気軽に音楽ができるようにしようよっていう動きになっている、ネガティブなことばかりではないんです。音楽好きな方や、興味がある方は、ぜひ、一緒にオンラインセッションしましょう!
取材後記
今回は池本さんに、ジャズ界で起きている意識変革、リモートライフだからこそ生まれた新しい音楽の楽しみ方の可能性を語ってもらいました。こうして、趣味に深く入っている人だけが知っている新サービスや技術革新を聞くと、とても驚かされます。エンターテインメントに詳しい人を集めて語ってもらうだけでも、新しい研究テーマができそうな予感に溢れています。
コメントピックアップ
このインタビューには音楽モノホンの人たちが続出。
池本さんが演奏された音源を社内ポッドキャストのBGMとして提供いただきました!
最近なんでテレビでやらないんだろうと思ってたジャズイベント、とっくに配信に移ってたのか。置いていかれている人がたくさんいるんだろうなと余計な心配。