日常の生活や出来事から得られる、いま、この時代でしか得られない感覚や発想。それら「社会を切り取る視点」を、研究開発グループのメンバーのインタビューから見つけるコンテンツ、Nowism(ナウイズム)。
今回のメンバーはロンドンにあるEuropean R&D Centre Design Labにて、欧州における交通分野での新事業創生とビジョンデザインを担当している福丸諒さん。コロナ禍でロックダウンも経験したロンドンでの暮らしのなか、ミールキットのデリバリーにハマっているそうです。(2020年秋収録)
画像1: 多様な仲間と過ごすロンドンオフィス事情と、意識「だけ」高い系お説教事件│ Nowism 社会を切り取る視点の蓄積

福丸 諒
Hitachi European Research & Development Centre Design Lab
Design Consultant

欧州における交通分野での新事業創生とビジョンデザインを担当。最近食べておいしかったミールキットは、名店のとんこつラーメン。

――現在はリモートワーク中心ですが、ロンドンの歴史的な金融街、ロンドン・ウォールにオフィスを構えるEuropean R&D Centre Design Lab。どんな仲間たちと、どんなふうに働いているのでしょうか。

福丸:European R&D Centre Design Labのオフィスは、近くにバービカン・センターという、住宅や美術館、学校などのいろんなものが集合している昔のスマートシティのようなところがあって。そこを眺めながら過ごせる素敵なオフィスです。もう、半年以上(2020年冬時点)出社できていないのが残念です。

僕は今ヨーロッパで、主に鉄道分野の新しい事業を立ち上げるというミッションに携わっていますが、特に鉄道分野はイタリアに工場があって、営業部隊はイギリスにいて、ニューヨークにもまた営業がいて……といろいろな地域にまたがり活動しています。時差の都合もあるので、リモートワークだからこそできる部分もありますね。今は、「日立って結局何ができるんだっけ?」ということを、広く整理してまとめようとしています。グループ会社も含めて、日立グループ内にあるいろいろなソリューションや、自分たちが知らなかったような技術も探索して、それを「One Hitachi Solution」として総合し、そのなかで生まれる新しい事業をしっかり育てていこうとしています。

今、ロンドンオフィスには僕を含めて9人のデザイナー、テクノロジストが働いていて、ドイツ人、イタリア人など出身地も多彩です。もとはエージェンシーにいて、生粋のサービスデザイナーという感じの方から、グラフィックセンスがあるうえに、プロトタイプツールに関してもものすごく知識があるUI/UXデザイナー、さらには、彼につくれないものはないと言っても過言ではないぐらいのスーパーテクノロジストまで、個性あふれるメンバーと日々働いています。

画像: ロンドンウォールにある素敵なオフィス

ロンドンウォールにある素敵なオフィス

――環境保護やサステナビリティ関係の仕事をするなかで、不意に話したあるひと言で同僚から追及されてしまったという福丸さん。そこには、ヨーロッパで働いているからこその事情が窺えます。

福丸:
最近、サステナブル関連の仕事が増えており、個人的にも関心が芽生えてきたところなんです。そこで、同僚に「最近、ちょっと環境問題に興味があるんだよね」と言ったら、「それで、結局おまえは何かしたの?」と訊かれて。「特に何もしてない」って答えたら、30分間くらいずっと説教されてしまいました。

やっぱり欧州全体を通して、意識「だけ」高い系にはとても厳しいんです。非常に反省しつつ、印象的な出来事だったので自分でもいろいろ調べてみたら、「WOKE FISHING」という言葉もあるらしく。社会に「WOKE(目覚めた)」――関心があるような態度で、それを「FISHING」――詐欺的に使うこと。つまり、社会問題に関心があるふりをして人の気を惹くという行為です。こんな言葉があるくらい、ヨーロッパでは、意識だけ高い系は、個人もそうですし、企業も追及されることが多いんです。そういう態度は許されない社会なんだなということをひしひしと感じています。

ヨーロッパの人たちは、環境問題や社会問題もそうですし、そこに自分たちの国の歴史問題なども絡めて論ずることがうまいんですよね。だから、僕ももっと歴史をしっかり勉強しようと思っています。でも、やっぱり勉強だけじゃダメですよね。加えて、実践しないとまた同じことになってしまうので。まずはビニール袋をもらわないというような小さなことから始めています。

編集後記

ロンドンオフィスで働く福丸さんに、ご自身の暮らしぶりに加え、「現地にはどんな仲間がいるの? 何しているの? どんなところ?」を語ってもらいました。情報収集の感度が高く、新しいものをいつも教えてくれる、それでいてお茶目で愛される方なのですが、「WOKE FISHING」の話は強烈でした。多様な仲間と働くということは、多様な文化や視点を自分のなかにインストールするということでもあると改めて感じるお話でした。

コメントピックアップ

画像2: 多様な仲間と過ごすロンドンオフィス事情と、意識「だけ」高い系お説教事件│ Nowism 社会を切り取る視点の蓄積

EU離脱が決まった頃、イギリス人に「ヨーロッパのダイバーシティとその他の地域のダイバーシティの違いはわかるか?」って聞かれて、「うーん、なんだろう」と答えたら、「ヨーロッパの今のダイバーシティの背後には戦争を乗り越えた何百年もの歴史の重みがある。だからEUという構想に誇りを持ってる」と言っていたのが印象的だったのを思い出した。

画像3: 多様な仲間と過ごすロンドンオフィス事情と、意識「だけ」高い系お説教事件│ Nowism 社会を切り取る視点の蓄積

文化的素養がなさすぎるので、簡単に世界の教養を学べる本を読んでみましたが、浅い理解で知識をひけらかすととんでもない量の批判を浴びるので、ゆっくり身に着けようかなあと思っているところです。

画像4: 多様な仲間と過ごすロンドンオフィス事情と、意識「だけ」高い系お説教事件│ Nowism 社会を切り取る視点の蓄積

一番最後のサステナぶってる(WOKE FISHING)と説教されるくだりは面白くもしみじみ聞いちゃいました。まずは行動ありきなんだよね。

Nowism 社会を切り取る視点の蓄積

日常の生活や出来事をとおして、いま、この時代でしか得られない感覚や発想に迫る、研究開発グループのメンバーインタビュー

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