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日常の生活や出来事から得られる、いま、この時代でしか得られない感覚や発想。それら「社会を切り取る視点」を、研究開発グループのメンバーのインタビューから見つけるコンテンツ、Nowism(ナウイズム)。
今回のメンバーは、NEXPERIENCEの協創方法論研究の中で、プラットフォームのビジネス開発に関するメソッド研究を担当している寺岡弘貴さん。自宅では43インチの4Kモニターを駆使し、さらに、腰を労るために日立製作所の福利厚生プランを使用して椅子も購入。リモートワーク環境を整えているそうです。(2020年秋収録)
画像1: ゲーマーが語る、“コンテンツ化する運営”と信頼とは?│Nowism 社会を切り取る視点の蓄積

寺岡 弘貴
研究開発グループ 東京社会イノベーション協創センタ
サービス&ビジョンデザイン部 企画員(Associate Researcher)

協創方法論研究の中で、プラットフォームのビジネス開発に関するメソッド研究、保守事業の将来像など、新規事業創出を担当。コロナ禍にバイクを購入し、休日はツーリングを楽しんでいる。

――ゲームが趣味だという寺岡さん。とあるゲーム開発者向けのカンファレンスに参加して、興味深い「運営」の話に出会ったのだそう。

寺岡:
「運営のコンテンツ化」という考え方があって。カンファレンスの登壇者ご自身が運営するスマホのアプリゲームについて、ゲームが面白いから売れているんじゃなくて、運営方法が面白いから売れているんじゃないかと主張されたんです。ファン同士のコミュニティはこれまでもありましたが、運営サイドが主催するリアルイベントにファンを集めて、開発者とファンが直接交流できるようにしているそうです。開発者側としては、具体的にこの人たちのために作っているという意識でものづくりができる。逆にユーザーからすると、作っている人たちの考えや想いに直接触れられるのがすごく新しくて、面白い運営方法だなと思いました。

さらに、普通はユーザー側に共有しない情報も出すんです。たとえば、普通なら同じレベルのプレイヤー同士の勝率は50%に落ち着くはずが、ランダムで得られる強いキャラクターを手に入れると勝率が80%以上になって、ゲームバランスが崩れて面白くなくなってしまったということがあって。そこでユーザーが改善を要求したところ、運営側はかなり詳細に調査を行って、「このキャラクターを手に入れた人の勝率は何パーセントだったので、こういう対応をする」という指針を説明したうえで、「何%に改善しました」というところまで全部公表したんです。

ユーザーとコミュニケーションをとりながら対応したということは信頼の醸成にも役立つし、ファンを作るうえで重要な考え方なのかなと思いました。こういった透明性をどこまで担保するのかというのは難しい部分ですが、これまでやってこなかった分野でも、どんどんそういうことをやり始めているのは面白い傾向ですよね。どこまでを出すのかは難しいと思うんですけど、普通じゃ見られないところが見られたらすごいと思うし、それを実際に作っている人が出すっていうところも良いなと。日立でも、 Inside Hitachi Designで発信に取り組んでいますが、研究者側の顔が見える状態にして、「こういうことを考えてやりました」というバックグラウンドを透明にするのも面白いと思います。

画像: 「趣味のゲームや好きなアーティストのライブを迫力ある画面で見たい!」と購入した43インチの4Kモニターは、リモートワークでも活躍中。

「趣味のゲームや好きなアーティストのライブを迫力ある画面で見たい!」と購入した43インチの4Kモニターは、リモートワークでも活躍中。

――コロナ禍を経て、すっかり浸透してきたオンライン配信形式のライブ。リアルのライブに参加するのが大好きな寺岡さんだからこそ感じることとは?

寺岡:
ライブに行くことがすごく好きなんですけど、今、コロナ禍で無観客のオンラインライブが流行っていて。たとえば、あるアイドルのライブでは、それまでの有観客の全国ツアーでは50公演で230万人くらい動員していたのが、オンラインライブでは2部構成1日の公演で合計1,000万人くらいが観たんじゃないかという試算が出ているそうです。それで、全国を回らなくても1,000万人にリーチできるのであれば、オンラインライブのほうが儲かるんじゃないか、という見方もされています。

でも、僕はやっぱりリアルのライブでしか得られないものがあると思っています。特に、僕が好きなアイドルゲームシリーズのコンテンツでは、ライブ会場でのファン同士のコミュニケーションがすごいと言われていて。ライブ前にファン同士で自己紹介しながら自分で作った名刺を渡す、名刺交換という文化があるんです。当たり前ですけど、オンラインだとそういう交流ができないですよね。今は、これまでのライブでそうやって知り合った人たちと離れた場所からオンラインライブを同時に観て、感想を言い合ったりしているんですけど。そこからは新しい出会いや新しいコミュニケーションは生まれないし、直接会って喋るということは大事だなあと実感しています。

もし、オンラインライブのほうが儲かるじゃんという方向にどんどん行ってしまって、オンラインライブしかやらなくなる世界もあり得ると思うと、「いやいや、リアルライブも大事だよ」と。リアルのライブが復活してほしいなあと、強く思っています。

編集後記

個人の趣味が持つ、狭くて深い世界を垣間見せてくれた寺岡さん。新たな需要のなかで生まれたオンラインライブのように、ゲーム・エンターテインメント業界は、コロナ禍をイノベーションのテコにして、価値やビジネスモデルをアップデートしています。こういった分野の革新性は、経験の差が生む「意味の解像度」の違いから生まれてくるので、ハマっている人にしか筋の善し悪しが見えないものだと思います。

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画像2: ゲーマーが語る、“コンテンツ化する運営”と信頼とは?│Nowism 社会を切り取る視点の蓄積

ゲームの運営がコンテンツ化するって面白い話だなと思いました。SNSが浸透して、良くも悪くも声が届くために、開発陣に"友達感覚"を抱くユーザが多くなっているのかも……。そうなると、ゲームプロデューサーも雲の上の人ではなくて、少なくともユーザの中では“小さいコミュニティの長”くらいの立場になったのかもしれないと感じました。

※ ゲーム開発者を羨望のまなざしでみつめて、ゲーム業界に一時的に籍を置いた、ただのドッター(ドット絵担当のグラフィックデザイナー)のつぶやきです。

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雑誌やウェブのインタビューだけではなく、SNSや動画配信プラットフォームにより、直接メッセージが発信出来るようになったことで、ゲームクリエイターもより身近に感じられるようになったのだと思います。また、昔から有名な方はいましたが、SNSでのエゴサーチや発信を鬼のように行っている方がいたりするのを見て、より親しく感じられる方が増えたように思います。

画像4: ゲーマーが語る、“コンテンツ化する運営”と信頼とは?│Nowism 社会を切り取る視点の蓄積

業務用有機ELディスプレイを持ってますが、プロジェクターの色調整の基準に使うのみで、普段は妻用のテレビになり下がっています(笑)。仕事で4Kはホント良いですよね。自分は27インチの廉価なやつですが、老眼なのに気合いで100%表示です。

Nowism 社会を切り取る視点の蓄積

日常の生活や出来事をとおして、いま、この時代でしか得られない感覚や発想に迫る、研究開発グループのメンバーインタビュー

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